週に1回以上の高強度身体活動は高血圧患者の認知機能を保護する:SPRINT MIND二次分析
Effect of vigorous-intensity physical activity on incident cognitive impairment in high-risk hypertension
背景
ランドマークSPRINT MIND試験は、高齢者の血圧の集中管理が、軽度認知障害発症リスクを大幅に低減することを示した。他方、高齢者の身体活動(PA)が認知機能低下を防止することを示す多くのデータがある。
アメリカWake Forest UniversityのKazibweらは、SPRINT MIND結果の二次分析により、高リスク高血圧患者における軽度認知障害(MCI: Mild Cognitive Impairment)および認知症疑いの発症リスクに対する、高強度身体活動(VPA)の効果を検討した。自己報告によるVPA頻度を低VPA(1回/週未満)と高VPA(1回/週以上)に分類した。
結論
高VPA群の参加者は、低VPA群の参加者と比較して、MCI(13.9 vs. 19.7)、認知症疑い(6.3 vs. 9.0)、およびMCI/認知症疑い(18.5 vs. 25.8)のイベント発生率(1,000人年当たり)が低かった。高VPAの低VPAと比較しての、MCI・認知症疑い・MCI/認知症疑いリスクのハザード比は、各0.81・0.80・0.82であった。
評価
SPRINT MINDは参加者9,000名超の大規模試験で、データも整備されている。良質のデータの二次分析により、すでに数多くのVPA(6METs以上、軽いジョギング以上)の認知症予防効果を、高血圧患者集団において確認した。同試験参加者は75歳以上の高齢者も含め、60%以上が少なくとも週に1回はVPAを行っていたが、著者らによれば、VPAの認知症防止効果は、75歳未満でより顕著であるという。