家族性高カイロミクロン血症症候群にolezarsen登場:Balance試験
Olezarsen, Acute Pancreatitis, and Familial Chylomicronemia Syndrome

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
April 2024
390
開始ページ
1781

背景

家族性高カイロミクロン血症症候群(FCS)は、重症高トリグリセリド血症と重症急性膵炎を伴う遺伝性疾患で、FDA承認治療薬が存在しない。
アメリカUniversity of CaliforniaのTsimikasら(Balance)は、同患者60名を対象として、olezarsen(肝におけるアポリポ蛋白C-III[APOC-III]合成を抑制)の効果・安全性を検証する第3相RCTを行った(対照:プラセボ, 49週)。一次エンドポイントは、空腹時TG値のベースラインから6ヵ月までの変化(%)の、実薬80 mgとプラセボとの差、および実薬50 mgとプラセボとの差(前者達成の場合のみ評価)である。

結論

ベースラインTG値平均は2,630 mg/dLで、71%の参加者に過去10年間に急性膵炎の既往があった。Olezarsenの一次エンドポイント効果を認めた(80 mgでプラセボに比して−43.5%低下: 50 mgでは有意低下なし)。急性膵炎エピソードはプラセボ群で11件、実薬群で1件発生した(率比 0.12)。中等度の有害事象が、80 mg群で4件発生した。

評価

Ionis Pharmaceuticalsの創薬である。現在の対処法では、TG値低下が不十分であるばかりでなく、急性膵炎がコントロールできない。TG値を半減させるだけでなく、急性膵炎再発リスクを大幅に低減した同薬は、ブレークスルーとなる。初のFCS治療薬としてFDA承認が確実とみられるが、試験患者の規模拡大は必要である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell