バンコマイシンとピペラシリン/タゾバクタムの併用は敗血症患者の死亡増と関連
Mortality of Patients With Sepsis Administered Piperacillin-Tazobactam vs Cefepime
背景
バンコマイシンとピペラシリン/タゾバクタム(PIPC/TAZ)との併用は敗血症で最も一般的に処方される経験的治療であるが、セフェピムの場合と比して有害なアウトカムを招くことが指摘されている。
アメリカUniversity of MichiganのChanderrajらは、2014年7月〜2018年12月に同施設に入院し、バンコマイシンとPIPC/TAZまたはバンコマイシントセフェピムによる治療を受けた敗血症疑い成人患者を対象に、90日死亡率・その他のアウトカムを比較する後向コホート研究を実施した(n=7,569)。
結論
4,523名がバンコマイシンとPIPC/TAZ、3,046名がバンコマイシンとセフェピムによる治療を受けた。PIPC/TAZグループのうち、PIPC/TAZの不足が生じた2015年6月から2016年9月に投与を受けたのは3%のみであった。
操作変数法による解析では、PIPC/TAZは90日絶対死亡率の5.0%の増加、臓器不全のない日数の減少(2.1日)、人工呼吸器不要日数の減少(1.1日)、昇圧剤不要日数の減少(1.5日)と関連した。
評価
最近のACORN試験では、セフェピムとPIPC/TAZで14日死亡率に有意差を認めなかったが、この後向研究では、敗血症疑いの患者でのバンコマイシン+PIPC/TAZが、5%高い90日死亡率と関連していた。
抗嫌気性菌薬の適応がない場合にPIPC/TAZを選択することは長期的に有害な可能性があり、より詳細な検証が必要とみられる。