輸血依存性βサラセミアに遺伝子治療exa-cel登場:CLIMB THAL-111
Exagamglogene Autotemcel for Transfusion-Dependent β-Thalassemia

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
April 2024
390
開始ページ
1663

背景

NEJMは、CRISPR?Cas9を用いた遺伝子編集治療exagamglogene autotemcel (exa-cel:自己CD34陽性HSPCsのBCL11A遺伝子赤血球系特異的エンハンサー領域をゲノム編集し、胎児ヘモグロビン[HbF]合成を再活性化する)による主要2赤血球遺伝子疾患の治療成功報告を併載している。
イタリアIRCCS Ospedale Pediatrico Bambino GesuのLocatelliらによるCLIMB THAL-111の対象は、輸血依存性βサラセミア(遺伝子型:β0/β0・β0/β0・β0/β0)の患者52名(12〜35 歳)であった。exa-cel注入前には、ブスルファンによる骨髄破壊前処置を行った。一次エンドポイントは、輸血非依存状態(赤血球輸血なしで連続12ヵ月以上Hb値の加重平均値が9 g/dL以上)である。

結論

追跡期間中央値20.4ヵ月で、全患者において好中球と血小板の生着が得られた。評価可能であった患者35名中32名(91%)が、一次エンドポイントを達成した。輸血非依存状態中のHb濃度平均値は13.1 g/dL、HbF濃度平均値は11.9 g/dLであった。exa-celの安全性プロファイルは、骨髄破壊的前処置および自己HSPC移植と概ね一致していた。死亡・癌は発生しなかった。

評価

Vertex Pharmaceuticals and CRISPR Therapeuticsの創薬で、鎌状赤血球症(SCD)に対して行われたCLIMB SCD-121に関する併載論文(https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2309676)とともに、exa-cel治療の有効性を確認した。重要なブレークスルーであり、臨床使用されてゆくことになるが、SCDの場合と同じく、手法自体に高価・煩雑という大きな問題があり、焦点はin vivo遺伝子治療に移っている。SCDでは、動物レベルで骨髄造血幹細胞を標的とするプライム編集カーゴの静脈内送達の概念が実証されているhttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36800642/

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取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell