重症鎌状赤血球症に遺伝子治療exa-cel登場:CLIMB SCD-121
Exagamglogene Autotemcel for Severe Sickle Cell Disease
背景
鎌状赤血球症とβサラセミアに対する遺伝子治療が急進している。Exagamglogene autotemcel(exa-cel)は、ex vivoでCRISPR-Cas9により、自己CD34陽性造血幹細胞・前駆細胞(HSPCs)のBCL11A遺伝子における赤血球系特異的エンハンサー領域をゲノム編集し、体内に戻す手法である。
アメリカTriStar CentennialのFrangoulら(CLIMB SCD-121)は、鎌状赤血球症を有し、重度血管閉塞発作がスクリーニング前の2年間に年2回以上発生した12〜35歳の患者44名を対象として、exa-cel効果・安全性を検証する第3相単群非盲検試験を行った。exa-cel注入前に、ブスルファンによる骨髄破壊的前処置を行った。一次エンドポイントは、重度血管閉塞発作の連続12ヵ月以上の抑制である。
結論
追跡期間中央値19.3ヵ月で、評価対象30名中29名で一次エンドポイントが達成され、血管閉塞発作による入院も連続12ヵ月以上発生しなかった。exa-celの安全性プロファイルは、骨髄破壊的前処置および自己HSPC移植と概ね一致していた。発癌例はなかった。
評価
VERTEXの創薬で、オフターゲット効果がないことなどを確認した基礎研究もNEJMに併載されており(Specificity of CRISPR-Cas9 Editing in Exagamglogene Autotemcel | New England Journal of Medicine (nejm.org))、重要な一歩である。正常β-globin遺伝子を挿入するlevo-celとともに、すでにFDA承認されているが、手法自体は高価で煩雑であり、すでに焦点は、何らかの形によるin vivo治療に移っている。


