運動を増やすにはゲーミフィケーション+金銭的インセンティブ:BE ACTIVE試験
Effect of Gamification, Financial Incentives, or Both to Increase Physical Activity Among Patients at High Risk of Cardiovascular Events: The BE ACTIVE Randomized Controlled Trial

カテゴリー
生活習慣病
ジャーナル名
Circulation
年月
April 2024
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開始ページ
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背景

身体活動は全原因死亡・心血管死亡の減少と関連しているが、ガイドラインで推奨されている身体活動レベルに到達している人は少なく、人々の身体活動レベルをどのように向上させるかは、重要な公衆衛生課題となっている。
アメリカUniversity of PennsylvaniaのFanaroffら(BEACTIVE)は、臨床的に動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)、または心筋梗塞・脳卒中・心血管死亡の10年リスクが7.5%以上と算定された個人を対象としたRCTを実施した(n=1,062)。参加者を、歩数トラッキング可能なウェアラブルデバイスを配布して歩数目標(1日7,500歩)の達成状況に応じてポイントが増減するゲーミフィケーション群、仮想口座に毎週14ドルの入金が行われ、達成状況によっては残高が減少する金銭的インセンティブ群、両者を組み合わせたゲーミフィケーション+金銭的インセンティブ群、および対照群に割り付けた。

結論

ベースラインから12ヵ月間の1日平均歩数の変化について、対照群と比較して、ゲーミフィケーション群で538.0歩(調整済み)、金銭的インセンティブ群で491.8歩、ゲーミフィケーション+金銭的インセンティブ群で868.0歩の有意な増加が認められた。
介入期間終了から6ヵ月後のフォローアップでは、ゲーミフィケーション+金銭的インセンティブ群でのみ、対照群より有意に増加したままであり(576.2歩)、ゲーミフィケーション群(459.8歩)、金銭的インセンティブ群(327.9歩)では、有意な差は失われた。

評価

ゲーミフィケーションと金銭的インセンティブによる行動経済学的介入は、共に1日の歩数を有意に増加させ、特に両者を組み合わせた場合に効果は大きかった。
将来的な医療費の抑制が期待できるものの、それなりに高コストな介入であり、社会的実装にあたっては費用対効果分析が必要である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(生活習慣病)

Journal of the American Medical Association (JAMA)、The New England Journal of Medicine (NEJM)、Lancet、Diabetologia、Diabetes Care (Diabetes Care)