血栓回収治療はどんな大きさの急性期脳梗塞にも有効:LASTE
Trial of Thrombectomy for Stroke with a Large Infarct of Unrestricted Size
背景
急性期脳梗塞に対する血栓回収術の有効性を示した多くの臨床試験は、大梗塞患者を除外している。
フランスHopital Gui de ChauliacのCostalatら(LASTE)は、対象患者を拡大した国際RCTを行った(n=333)。対象は、梗塞巣ASPECTS≦5の急性期前方循環領域脳梗塞患者で、発症後6.5時間以内に血栓回収群と対照(薬物治療単独)群に割り付けた(ASPECTS≦2は56%)。一次アウトカムは、発症90日目のmRSである。
結論
いくつかの先行研究で大梗塞に対する血栓回収の有効性が示唆されたため、試験期間の途中で患者登録を中止した。血栓回収の一次アウトカム効果を認めた(中央値: 4 vs.6, オッズ比 1.63)。発症90日でのmRS:0-2の頻度も血栓回収群が高く(13.3% vs. 4.9%, 調整後相対リスク 2.39)、発症90日までの全死亡も血栓回収群が低かった(36.1% vs. 55.5%)。血栓回収群の6.9%で治療関連合併症が生じた。
評価
梗塞巣の大きさ(ASPECTS)に制限を設けずに患者登録を行った初めてのRCTで、血栓回収の有効性を示した。ASPECTS≦2以下でも有効としたが、ASPECT≦3の大梗塞を有する80歳を超える高齢者は除外されている。他方、この論文に先行発表されたASPECTS≦5の急性期前方循環領域脳梗塞に対する血栓回収治療の試験では、ASPECTS2/3以下の大梗塞では、血栓回収治療の優越性は認められておらず、ここでの結果とは差異がある。