ソーラー発電によりウガンダの小児患者へ酸素投与を可能にする
Solar-powered O2 delivery for the treatment of children with hypoxaemia in Uganda: a stepped-wedge, cluster randomised controlled trial
背景
低酸素血症の治療では酸素投与が重要な役割を果たすが、インフラが脆弱な低・中所得国の医療施設では酸素投与へのアクセスが限られる場合がある。
カナダUniversity of AlbertaのConradiらは、ウガンダ農村部の20ヵ所の医療施設に、ソーラーパネル・蓄電池・酸素濃縮器を備えた太陽光発電酸素投与システムを順次導入し、低酸素血症・呼吸器症状を呈する小児患者(5歳未満)の死亡率を比較するステップウェッジ方式のクラスターRCTを実施した。
結論
2019年から2021年に、小児2,409名が登録された。
酸素投与の実施率は太陽光発電酸素投与システム導入前の50.2%、導入後は98.8%に増加した。104名が死亡し、うち91名が低酸素血症の認識から48時間以内の死亡(一次エンドポイント)であった。48時間死亡率はシステム導入前で5.1%、導入後は2.9%であった(調整オッズ比 0.50)。
1人の命を救うのに必要な治療数(NNT)は45であった。費用対効果は、障害調整生存年あたり25米ドルと推定された。
評価
電力網に依存しない酸素投与システムの導入により、小児の低酸素血症に対する酸素投与はほぼ100%まで上昇し、死亡リスクは半減した。インフラ開発の進まない低所得国で、酸素療法へのアクセスを改善する最小コストのソリューションである。