成人発症型免疫不全症の主病因は抗IL-23自己抗体?
Anti-Interleukin-23 Autoantibodies in Adult-Onset Immunodeficiency

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
March 2024
390
開始ページ
1105

背景

胸腺腫患者で致命化しうる日和見感染症に、IL-12に対する自己抗体の存在が関連する、という仮説がある。
アメリカNational Institutes of Health(NIH)のHollandらは、抗IL-12抗体を有する主に胸腺腫患者のコホートで、IL-23に対する自己抗体のスクリーニングを行い、両自己抗体の病因論的意義を検討した。対照は、胸腺腫も抗IL-12抗体も有しない希少感染症患者のコホートである。

結論

抗IL-12抗体を有する、重症のマイコバクテリア感染症・細菌感染症・真菌感染症患者30名の50%が、抗IL-23中和自己抗体も有しており、その抗体価は感染症重症度と関連していた。他方、抗IL-12中和抗体価と感染症重症度に関連は認められなかった。
91名の胸腺腫患者からなる検証コホートでは、抗IL-23抗体の存在は、81%で感染症と関連した。抗IL-23抗体は重症細胞内感染患者の19%に存在し、さらに、Cladophialophora bantianaやMycobacterium avium complexによる希少頭蓋内感染症患者の12%にも存在した。

評価

IL-12はIL-23とサブユニットを共有しており、共通の作用機構をもつものとみられる。この論文は、成人発症免疫不全症での日和見感染症の主病因が、抗IL-12自己抗体でなく、抗IL-23自己抗体であることを主張するものだが、未だ結論的とは言えない。検査・治療に直結する新しい作業仮説であり、早急な検証が必要である。

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取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell