トピラマートへの出生前曝露の自閉スペクトラム症リスクを否定
Risk of Autism after Prenatal Topiramate, Valproate, or Lamotrigine Exposure
背景
最近の北欧研究により、妊婦のトピラマート使用が、児の自閉スペクトラム症(ASD)リスクであることが示された(https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/article-abstract/2793003)。
アメリカHarvard T.H. Chan School of Public HealthのHernandez-Diazらは、米国の2つの医療データベース(2000〜2020年)に基づき、この関連を再検討した。ASDリスクを、妊娠後半期にトピラマートに曝露した児と、妊娠中に抗てんかん薬に曝露しなかった児とで比較した。バルプロ酸曝露児を陽性対照、ラモトリギン曝露児を陰性対照とした。
結論
8歳時点におけるASDの推定累積発生率は、抗てんかん薬非曝露児(n=4,199,796)で1.9%であった。
てんかんを伴う妊婦からの生児のASD発生率は、抗てんかん薬曝露児(8,815)で4.2%、トピラマート曝露児(1,030)で6.2%、バルプロ酸曝露児(800)で10.5%、ラモトリギン曝露児(4,205)で4.1%であった。抗てんかん薬非曝露との比較におけるトピラマート曝露の調整ハザード比は、0.96であった(バルプロ酸曝露 2.67、ラモトリギン曝露 1.00)。
評価
このHarvard Chan研究も北欧研究も共に高信頼度のものであり、結果の差異は問題である。著者らはこの差異を、北欧における適応症の混乱に基づくものではないかと示唆し、自らの結果の妥当性が高いことを主張している。ただし、バルプロ酸とラモトリジンに関する結果は2研究で一致しており、バルプロ酸は高リスクである。