大腿四頭筋腱グラフトによる前十字靭帯再建では、大腿四頭筋力が弱い
Weaker Quadriceps Muscle Strength With a Quadriceps Tendon Graft Compared With a Patellar or Hamstring Tendon Graft at 7 Months After Anterior Cruciate Ligament Reconstruction
背景
前十字靭帯再建術（ACLR）で大腿四頭筋腱（QT）グラフトの使用が一般化しているが、患者の大腿四頭筋の筋力は。
スウェーデンKarolinska InstitutetのHolmgrenらは、QT・ハムストリング腱（HT）・骨-膝蓋腱-骨（BPTB）自家移植によるACLRを受けた患者間で大腿四頭筋の等速性筋力を比較する後向研究を行った。
QT移植患者（n=104）を、HT移植患者（n=104）およびBPTB移植患者（n=104）とマッチさせて、術後平均7ヵ月の臨床現場で用いられる筋力検査の結果を比較した。
結論
QTグラフト移植患者では、Limb symmetry index（LSI）が67.5％〜75.1％と、大腿四頭筋等速筋力が最も低下しており、次いでBPTBグラフト移植患者（74.4％〜81.5％）、HTグラフト移植患者（84.0％〜89.0％）であった。QTグラフト移植患者は、HTグラフト移植患者に比べ、すべての測定変数でLSIが有意に低かった。また、BPTBグラフト移植患者との比較でも同様であった。ただし、どのグラフト群でも、ピークトルクの平均LSIは90％以上には達しなかった。
評価
QTグラフト移植患者で、ピークトルクのLSIが90%以上に達したのは20名中1名のみであったという。QTグラフト移植の問題点を浮き彫りにした結果であり、同グラフト移植患者に特化したリハビリテーションアプローチの開発が必要となった。
