理想歩数はやはり1日1万歩:UK Biobank研究から
Do the associations of daily steps with mortality and incident cardiovascular disease differ by sedentary time levels? A device-based cohort study

カテゴリー
整形外科・理学療法
ジャーナル名
British Journal of Sports Medicine
年月
March 2024
58
開始ページ
261

背景

1日の歩行歩数は身体活動の重要な指標であり、かつては、消費カロリーを元に設定された「1日1万歩」が唱えられたこともあったが、近年では、より大規模・精緻なデータをもとに至適な歩数を確定しようという試みが行われている。
オーストラリアUniversity of SydneyのAhmadiらは、イギリスの40〜69歳を対象とした前向コホート研究UK Biobankで、2013〜2015年、加速度計を用いた身体活動の測定が行われた参加者(n=103,684)において、1日の総歩数・座位時間と全原因死亡率・心血管疾患(CVD)発症率との関連を検討した。

結論

平均6.9年の追跡期間中に、死亡率の解析に含まれた72,174名のうち、1,633名が死亡した。参加者の1日総歩数の中央値は6,222歩であり、座位時間の中央値は10.6時間であった。座位時間の長い参加者は、喫煙者が多く、ウエスト径が大きく、コレステロール・高血圧の治療薬を使用している傾向にあった。1日の座位時間が10.5時間未満の参加者の歩数は中央値8,362歩、10.5時間以上の参加者では中央値4,829歩であった。
全原因死亡率が最も低下する至適歩数は、座位時間が10.5時間未満の場合、10,300歩で(2,200歩の場合と比較したハザード比 0.69)、10.5時間以上の場合9,000歩であった(0.61)。CVD発症については、座位時間が10.5時間未満で9,800歩(0.71)、10.5時間以上で9,700歩(0.79)であった。

評価

UK Biobankの大規模データを用いた研究で、歩数と死亡率・CVD発症率の関連はゆるやかなU字を描いており、座位時間により多少異なるものの、9,000〜10,500歩が最も低リスクであった。1日2,200歩でも死亡・CVD予防効果が現れており、身体活動とライフスタイルの見直しに具体的な数値目標を提供する。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

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Physical Therapy