受動喫煙は虚血性心疾患リスクを8%、脳卒中リスクを5%高める:メタアナリシス
Health effects associated with exposure to secondhand smoke: a Burden of Proof study

カテゴリー
生活習慣病、Top Journal
ジャーナル名
Nature Medicine
年月
January 2024
30
開始ページ
149

背景

タバコは喫煙者本人だけでなく、受動喫煙の形で周囲の人にも健康被害をもたらす。喫煙率が減少する一方で、依然、世界人口の37%が受動喫煙の形でタバコの煙に暴露していると考えられている。
アメリカUniversity of WashingtonのFlorらは、既存研究(410論文)の系統的レビューを行い、受動喫煙と9つの疾患アウトカム(肺がん・乳がん・虚血性心疾患 [IHD]・脳卒中・慢性閉塞性肺疾患 [COPD]、下気道感染症・喘息・2型糖尿病[T2D]・中耳炎)について曝露反応関係を定量化、さらにエビデンスの強さを立証責任リスク関数(Burden of Proof Risk Function)によって等級付けした。

結論

IHD・脳卒中・T2D・肺がんについては、リスクとアウトカムの関連についての弱から中程度のエビデンスがあった(「2つ星」評価)。受動喫煙への曝露により、IHDは最低8%、脳卒中は5%、2型糖尿病は1%、肺がんは1%増加することが示唆された。中耳炎・喘息・下気道感染症・乳がん・COPDについてはエビデンスが弱かった(「1つ星」)。

評価

BPRFの提唱者であるワシントン大学チームによる最新のメタアナリシスである(https://doi.org/10.1038/s41591-022-01973-2)。
非喫煙者であっても、受動喫煙により心血管疾患や肺がんなどのリスク上昇が認められた。受動喫煙は、女性や子供、中・低所得国の人々により大きな影響を与えるもので、公衆衛生イニシアチブの重要性は高い。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(生活習慣病)

Journal of the American Medical Association (JAMA)、The New England Journal of Medicine (NEJM)、Lancet、Diabetologia、Diabetes Care (Diabetes Care)