Harvard Chanが低中所得国妊婦へのカルシウム補充の最低ラインを確定
Two Randomized Trials of Low-Dose Calcium Supplementation in Pregnancy
背景
WHOは、低〜中所得地域妊婦へのカルシウム補充を推奨しているが、必要レベルに関するエビデンスは確実でない。
アメリカ Harvard T.H. Chan School of Public HealthのFawziらは、インドとタンザニアで、この問題に関する2件の独立したRCTを行い(n=各11,000)、1日補充量500 mgの1,500 mgに対する非劣性を評価した。
一次アウトカムは、妊娠高血圧腎症と早産である。
結論
妊娠高血圧腎症の累積発生率は、インドの試験では500 mg群で3.0%、1,500 mg 群で3.6%であり(相対リスク0.84)、タンザニアの試験では各3.0%、2.7%と(相対リスク 1.10)、両試験とも妊娠高血圧腎症リスクに関する、低用量カルシウム補充の高用量カルシウム補充に対する非劣性を認めた。
早産リスクに関しては、インドでは非劣性が示された一方で(0.89)、タンザニアでは非劣性は示されなかった。
評価
Bill and Melinda Gates Foundationファンドによる有益な大規模公衆衛生RCTである。試験国での1日当たりの摂取量中央値は約400 mgだったといい、500 mgという最低必要補充用量に関するエビデンスを確定した。同ファンドは補充プログラムの実装も支援するものとみられる。