プライベートエクイティが病院を買収すると
Changes in Hospital Adverse Events and Patient Outcomes Associated With Private Equity Acquisition
背景
アメリカでは、プライベートエクイティ(PE)による病院・診療所の買収が盛んに行われているが、医療の質への影響は。
アメリカMassachusetts General Hospital(MGH)のKannanらは、PEに買収された51病院と、買収されていない259の対照病院における入院に関するメディケア請求データを用い、院内での有害事象や入院患者の転帰等を比較検討した。
結論
PEに買収された病院では、対照病院と比較して有害事象が約25%増加した。これは特に、転倒の27.3%増と中心静脈カテーテル感染症の37.7%増によった(留置件数自体は減少)。また、手術件数が減少したにもかかわらず、手術部位感染は2倍増した。
PEに買収された病院では、院内死亡率が減少したが、これには保有保険資格が交絡している可能性がある。一方、退院後30日死亡率には差がなかった。
評価
アメリカ医療経営の最近の重要問題に関するMGH調査である。成功しているモデルは、営利病院チェーンの大規模PEによる買収で、すでに営利病院の1/3が買収された、という。医療の質への懸念は当然で、この研究での結論は「有害」に傾いている。また、患者・保険者の支払いも増えている可能性がある。