ドキシサイクリンによる曝露後予防でシスジェンダー女性の性感染症を予防できるか:dPEP Kenya
Doxycycline Prophylaxis to Prevent Sexually Transmitted Infections in Women
背景
ドキシサイクリンによる曝露後予防(PEP)の、シスジェンダー男性・トランスジェンダー女性の性感染症(STI)予防に対する有効性が示されているが、シスジェンダー女性には。
アメリカHennepin Healthcare Research InstituteのStewartら(dPEP Kenya)は、HIV曝露前予防を行っている18〜30歳のケニア人女性449名を対象として、これを検証するRCTを行った(ドキシサイクリン群:コンドーム無しの性交後 72時間以内にドキシサイクリン服薬、対照:標準治療)。
一次エンドポイントは、クラミジア・淋菌・梅毒トレポネーマいずれかへの新規感染である。
結論
3ヵ月毎12ヵ月間の追跡で、ドキシサイクリンの一次エンドポイントに対する効果を認めなかった。
毛髪検体の解析によると、ドキシサイクリンPEP群に割り付けられた参加者におけるドキシサイクリン の実際の服薬は有意に少なかった。
評価
2種の対象患者群で有効性が確認されているため行われた確認試験だったが、意外にも無効結果を報告した。
著者らは毛髪実測により、アドヒアランス問題が原因であったことを示唆しており、試験全体が無益であったことが示唆される珍しい報告である。NEJM Editorialは、問題の重大性に鑑み、さらに試験を続けるべき、としている。