IgA腎症へのsparsentanのPROTECT試験、最終結果は「微妙」
Efficacy and safety of sparsentan versus irbesartan in patients with IgA nephropathy (PROTECT): 2-year results from a randomised, active-controlled, phase 3 trial
背景
PROTECTはエンドセリン受容体・アンジオテンシンII受容体の新規拮抗薬sparsentanのIgA腎症への効果・安全性を検証する第3相RCTで、実薬対照irbesartanと比較して36週でタンパク尿(一次エンドポイント)減少効果を示した。
同試験のアメリカOhio State UniversityのRovinらは、110週での最終解析結果を報告した(n=404)。
結論
Irbesartanのsparsentanへの一次エンドポイントに対する優位性は最終解析でも維持された(-4.4% vs. -42.8%)。一方、二次エンドポイントであるeGFRの変化については、有意差は認められなかった(eGFR勾配は -2.9mL/分/1.73m2/年 vs. -3.9mL/分/1.73m2/年)。有害事象に群間差はなく、sparsentan投与による新たなリスクもみられなかった。
評価
Travere Therapeutics.の創薬で、36週結果でFDAに早期承認を受けていたが、eGFRへの効果をみる長期結果を要求されていた。ここでの結果は、一次エンドポイントに対する効果は確認されたが、二次エンドポイントであるeGFRには有効とみえるものの、対照薬との差異は有意でなかった、とする微妙なものである。最終承認も確実とみられるが、新たな標準となるかどうかは不明である。なお、同薬は、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)への効果をみたDUPLEXの結果をNEJMで報告しており(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2308550)、類似の結果である。