進行性肺がん患者への太極拳は有酸素運動より良い?
Effectiveness of Aerobic Exercise and Tai Chi Interventions on Sleep Quality in Patients With Advanced Lung Cancer: A Randomized Clinical Trial
背景
進行性肺がん患者への身体活動を促す介入は有益か。
中国University of Hong KongのTakemuraらは、同患者226名を対象として、これを検証するRCTを行った。
患者を16週間の有酸素運動群(AE群)・太極拳群(TC群)・コントロール群に割り付けた(AE群は1ヵ月に2回60分のグループ指導セッションと自宅での運動、TC群は週2回60分のグループセッション、コントロール群は身体活動のガイドラインの配布)。
一次アウトカムは、ベースラインから16週(T1)と1年(T2)での主観的な睡眠の質の変化である。
結論
コントロール群と比して、AE群とTC群ではベースラインからT1(群間差:AE -2.72, TC -4.21)・T2(群間差:AE -1.75, TC -3.95)で有意な睡眠改善がみられ、心理的苦痛・身体機能・歩数・概日リズム(二次アウトカム)の改善もあった。さらに、TC群はAE群に比べてT1・T2とも有意な睡眠改善があり、1年生存率も有意に改善した。
評価
進行がん患者も心身のために運動をした方が良いとの見方が近年強まっている。この研究は太極拳を有酸素運動より良い、とした珍しいものだが、ヨガや太極拳がCOPDやがん患者の息苦しさ改善に有効とした系統的レビューもある(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37343961/)。


