一度のX線照射で「一般X線画像」、「骨強調画像」、「軟部組織画像」を同時に取得 骨密度測定(DXA法)も可能なデジタルX線画像診断装置 新開発
- 富士フイルムメディカル株式会社
- 2018年4月5日
富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、特性の異なる2種類のX線検出部を積層した「デュアル構造」(*1)のデジタルX線画像診断装置(以下、カセッテDR)「FUJIFILM DR CALNEO Dual(カルネオ デュアル)」(以下、CALNEO Dual)を新たに開発しました。 「CALNEO Dual」は、一度のX線照射で、高精細な一般X線画像と、骨強調画像、軟部組織画像の3つを同時に取得できます。さらに、骨強調画像を用いて、骨粗しょう症診断で推奨される、腰椎・大腿骨の「DXA法」(*2)による骨密度測定が可能です。
なお、「CALNEO Dual」を4月13日から15日までパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される「2018国際医用画像総合展(ITEM2018)」に出展いたします。
高齢化に伴って、国内の骨粗しょう症患者数は増加し、約1,300万人(*3)にのぼるとされています。骨粗しょう症の診断では、骨の形状を確認するための一般X線の検査に加えて、DXA法による腰椎および大腿骨の骨密度測定が推奨されています(*3)。現在、一般X線画像の撮影と骨密度測定は、それぞれ別の装置で行われており、被検者は装置間を移動しなければならず、また骨密度測定の際に撮影の位置決めをし直して、その体勢を数十秒間維持する必要があります。
今回新たに開発した「CALNEO Dual」は、一度のX線照射で、高精細な一般X線画像に加え、骨密度測定用の骨強調画像を同時に取得できます。「CALNEO Dual」は、蛍光体として、X線エネルギーの吸収感度が異なるCsI(ヨウ化セシウム)とGOS(ガドリニウムオキサイドサルファ) を用いた2種類のX線検出部を積層しており、一度のX線照射で2つの画像が得られます。この2つの画像に、画像処理技術である「エネルギーサブトラクション(ES)技術」(*4)を適用することで、骨強調画像と軟部組織画像に分離することができます。ES技術は、今まで主に肺がんの結節(*5)や石灰化の検出に有効であるとされてきましたが、椎体(*6)等の骨領域では、撮影時に体内で発生する散乱線(*7)によってコントラストが下がり、骨の形状などが観察しづらいという課題がありました。「CALNEO Dual」は、当社が、X線のデジタル化において長年にわたり培ってきた、撮影時に生じる散乱線の影響を低減する技術や、粒状性の悪化を抑制しながらコントラストを高める技術などを適用し、骨組織の分離精度を高めることで、鮮明な骨強調画像を提供します。これにより、胸椎・腰椎・股関節などにおいて、骨の視認性向上が期待されます。さらに、「CALNEO Dual」では、腰椎および大腿骨の骨強調画像を用いて、DXA法による骨密度測定が可能です。
「CALNEO Dual」は、2種類のX線検出部を積層しながらも、カセッテDR標準規格の本体サイズ17×17インチ、厚さ16mmを実現しました。腰椎および大腿骨への一度のX線照射で、骨粗しょう症の診断に必要な画像が取得できるため、撮影時間の短縮と、被検者の身体的負荷軽減に貢献します。また、一般X線撮影装置で、一般X線画像の撮影とDXA法による骨密度測定ができるため、骨密度測定専用装置が不要となり、省スペース化にも貢献します。
富士フイルムは、今後もさまざまな医療現場のニーズに先進・独自の技術をもっておこたえし、さらなる画像診断の効率化と医療の質の向上に貢献していきます。
*1 2種類のX線検出部を積層した構造。CALNEO Dualでは、X線検出部にCsIとGOSの蛍光体を採用。
*2 Dual Energy X-ray Absorptiometry法の略称。エネルギー特性の異なる2種類のX線情報から骨密度を測定する方法。
*3 日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」より。
*4 特性の異なる2種類のX線から得た画像を差分し、骨強調画像と軟部組織画像に分離する画像処理技術。
*5 直径が1~3cm程度の円形の腫瘤。
*6 脊椎(背骨)は、椎骨と呼ばれる複数の骨が連結して構成される。椎体は、椎骨のうち腹部側にある楕円形に近い形をした部分。
*7 X線が被写体を透過する時に、被写体の中のさまざまな物質によって乱反射したX線。
1.品名
FUJIFILM DR CALNEO Dual
(販売名:FUJIFILM DR/認証番号:230ABBZX00046000)
2.発売時期
2018年6月頃を予定
3.主な特長
(1)一度のX線照射で、一般X線画像に加え、骨密度測定用の骨強調画像を同時に取得
蛍光体にCsI(ヨウ化セシウム)とGOS(ガドリニウムオキサイドサルファ)を用いた特性の異なる2種類のX線検出部を積層し、一度のX線照射で2つの画像が得られます。この2つの画像に、画像処理技術である「エネルギーサブトラクション(ES)技術」を適用することで、骨強調画像と軟部組織画像に分離することができます。「CALNEO Dual」は、当社が、X線のデジタル化において長年にわたり培ってきた、散乱線の影響を抑制する技術や粒状性の悪化を抑制しながらコントラストを高める技術などを適用し、骨組織の分離精度を高めることで、鮮明な骨強調画像を提供します。これにより、胸椎・腰椎・股関節などにおいて、骨の視認性向上が期待されます。さらに、「CALNEO Dual」では、腰椎および大腿骨の骨強調画像を用いて、DXA法による骨密度測定が可能です。
(2)一般X線撮影装置でDXA法による骨密度測定を実現し、撮影ワークフローを大幅に改善
骨密度測定の専用装置では、散乱線の影響を避けるため、照射領域をスリット状に絞り、X線の照射とスキャンを繰り返して撮影します。撮影には数十秒間を要し、その間、体動が生じないように被検者は同じ体勢を維持しなければなりません。「CALNEO Dual」は、一般X線撮影と同様に測定領域に対して、各部位にX線を面状に一度照射するだけで、骨密度測定用の画像を取得できるため、撮影時間の短縮や被検者の身体的負荷軽減に貢献します。また、一般X線撮影装置で一般X線画像の撮影とDXA法による骨密度測定ができるため、装置間の移動が不要になるとともに、ポジショニング回数を減らすことができます。

(3)一般X線画像の撮影と骨密度測定を1台のコンソールで制御
一般X線撮影用のコンソールに骨密度の測定機能を搭載することで、検査オーダーの入力から一般X線撮影と骨密度測定を同一のコンソールで操作でき、操作室のスペースを有効に活用できます。また、骨密度測定においても、コンソールに内蔵されている画像拡大機能や白黒反転機能などの画像処理も使用可能。操作手順をガイドする機能を搭載しており、業務の効率化をサポートします。

4.主な仕様
【フラットパネルセンサ】サイズ: 460(W)×460(D)×16(H)mm, 最大有効画像サイズ:17×17インチ
【画像出力】DICOM形式に準拠
【お問い合わせ先】
富士フイルムメディカル株式会社
営業本部 マーケティング部
TEL:03-6419-8033
- 企業サイトURL
- http://fms.fujifilm.co.jp/index.html
- ニュース・プレスリリース
- http://fms.fujifilm.co.jp/news/articlenr_180405.html
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