人工知能の技術で医師の画像診断をサポート 画像診断が難しい非腫瘍性肺疾患「びまん性肺疾患」の症例データベースを搭載 類似症例検索システム「SYNAPSE Case Match(シナプス ケース マッチ)」の対象疾患を拡大

富士フイルムメディカル株式会社
2017年2月21日

富士フイルム株式会社(社長:助野 健児)は、人工知能を用いて画像診断をサポートする類似症例検索システム「SYNAPSE Case Match(シナプス ケース マッチ)」に、画像診断が難しいとされる「びまん性肺疾患」の症例検索機能を新たに搭載した製品を開発しました。当社は、本システムを富士フイルムメディカル株式会社(社長:新延 晶雄)を通じて本日より発売いたします。
なお、4月14日〜16日にパシフィコ横浜にて開催される「2017国際医用画像総合展(ITEM2017)」にて、本システムを展示いたします。

類似症例検索システム「SYNAPSE Case Match」は、医師が画像診断の際に留意する画像所見の複雑かつ多様な形状やパターンなどの特徴を人工知能(AI)の技術を用いて数値化し、過去の症例データベースから特徴の似ている順に症例を提示するシステムです。医師は、表示された画像やその診断結果を参考にして、CT画像の診断を行うことができます。また、同システムは、画像診断のサポートに加えて、カンファレンスや画像診断の教育の現場でも活用されています。

これまで、「SYNAPSE Case Match」は、肺がんと肝臓がんの腫瘍性疾患を類似症例検索の対象としてきました。今回新たに対象となるびまん性肺疾患は、腫瘍性疾患と異なり、肺全体の広範囲に生じる疾患です。感染症やじん肺(*2)、薬剤によって発症するものや、原因が特定できない特発性間質性肺炎(*3)など、100を超える画像所見や症例が存在します。近年、びまん性肺疾患である肺炎と慢性閉塞性肺疾患(COPD)(*4)は、日本における死因順位がそれぞれ第3位、第10位(*5)になっています。びまん性肺疾患の重篤化を防ぐためには、高分解能CTを用いた画像診断で、早期に肺野(*6)内の変化を細かく観察して、治療方針を決定することが重要です。しかし、その画像所見は多様で、見た目が似ていても異なる疾患であることも多く、また膨大な画像所見と疾患のパターンを把握しておかなければならないため、画像診断の中でも、びまん性肺疾患の診断は、特に難しいとされています。

新たに提供する「SYNAPSE Case Match(Ver.3.0)」は、静岡県立静岡がんセンターで蓄積された肺がん、肝臓がんの症例データベースに加え、新たに虎の門病院にて蓄積された55疾患100症例以上のびまん性肺疾患の独立した症例データベースを搭載。さらに、導入施設で自院の症例を追加登録して症例データベースをより充実させることができます。
本システムには、教育目的に使用できる「ティーチングファイル機能」のほか、「電子医学書」などを標準搭載。充実した機能で幅広く医師をサポートします。加えて、当社の放射線読影レポーティングシステムと組み合わせて使うことで、症例の管理や、症例を用いた学習への活用を効果的かつ効率的に行える機能を備えています。

富士フイルムは、今後も本システムにおいて対象疾患を拡大していくことで、さらなる画像診断の効率化と医療の質の向上に貢献していきます。


*1 肺野の広範囲に生じる疾患の総称。感染症やじん肺などによって発症するものや、原因が特定できないものなど、100を超える疾患がある。「びまん性」とは、病変が塊ではなく、はっきりと限定できずに広範囲に広がっている状態のこと。
*2 粉塵や微粒子を長期間吸引した結果、肺の細胞にそれらが蓄積することによって起きる肺疾患(病気)の総称。
*3 原因が不明の種々の間質性肺炎(肺胞の壁や周辺に生じた炎症)の総称。
*4 慢性気管支炎や肺気腫といった病気の総称。Chronic Obstructive Pulmonary Disease。
*5 平成27年(2015年)人口動態統計(確定数)の概況より。
*6 気管支の末梢から、その先にある肺胞に至るまでの部分。



1.品名
類似症例検索システム SYNAPSE Case Match(Ver.3.0)
薬事販売名:富士画像診断ワークステーション FS-V673型の付属品
類似症例画像検索ソフトウエア
薬事認証番号:21600BZZ00613000



2.発売日
平成29年2月27日発売

3.特長
(1)「肺がん」、「肝臓がん」、「びまん性肺疾患」の類似症例を疾患ごとに検索
病変の特徴が類似した症例画像を疾患ごとに検索し、似ている順番に画像を表示します。医師は、表示された画像から、参考としたい症例を選択し、検査画像と比較しながらCT画像の診断を行うことができます。
(2)充実した症例で医師の画像診断を強力にサポート
静岡がんセンターで蓄積された肺がん(約1,000例)と肝臓がん(約300例)の症例データベースに加え、新たに虎の門病院で蓄積された55疾患100症例以上のびまん性肺疾患の独立した症例データベースを搭載。確定診断のついた豊富な症例が活用できます。また、導入施設で蓄積された症例を追加登録することで、データベースをより充実させることができます。
(3)ティーチングファイル機能
画像診断医や臨床医が、すべての疾患において自分の診断した画像や診断レポートを登録し、研修医、学生などに対して教育を行う際に使用できます。
(4)電子医学書を搭載
画像診断医の実用参考書籍を本システム用に電子化した電子医学書を搭載しました。レポートを記入するPC画面上で閲覧でき、キーワード検索も可能です。

4.構成
「SYNAPSE Case Match」は、富士フイルムの医用画像情報システム「SYNAPSE」のオプションとして使用されるシステムで、SYNAPSE Case MatchサーバとSYNAPSE Case Matchクライアントから構成されます。また、別売りのレポーティングシステム「SYNAPSE Result Manager」とエキスパートビューワ「EX-V」を連携させることで、画像比較表示、参考症例データを利用したティーチングファイル作成とレポーティングシステムへの内容反映をシームレスに簡単操作で実施できます。

【お問い合わせ先】
本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。
お客さま 富士フイルムメディカル株式会社 販売統括本部 マーケティング部
TEL 03-6419-8033
報道関係 富士フイルム株式会社 コーポレートコミュニケーション部
TEL 03-6271-2000

企業サイトURL
http://fms.fujifilm.co.jp/
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