複数の断層像で乳房内部の構造が観察可能な「トモシンセシス」に対応 独自の新方式直接変換型FPDを搭載した乳がん検査用デジタルX線撮影装置「AMULET Innovality(アミュレット イノバリティ)」新発売

富士フイルムメディカル株式会社
2013年4月11日

富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、乳がん検査用デジタルX線撮影装置「AMULET(アミュレット)」のラインアップを拡充します。独自開発の新方式直接変換型FPDを搭載することで、低線量で高画質な画像の撮影を実現し、かつ複数の断層像で乳房内部の構造を観察できるトモシンセシス機能(*2)に対応した「AMULET Innovality(アミュレット イノバリティ)」(*3)を、富士フイルムメディカル株式会社(社長:平井 治郎)を通じて平成25年5月15日より発売します。
当社は、明日からパシフィコ横浜にて開催される「2013国際医用画像総合展(ITEM2013)」にて「AMULET Innovality」を展示します。

今回発売する「AMULET Innovality」には、世界で初めて(*4)「HCP(Hexagonal Close Pattern)構造」のTFTパネル(*5)を採用した直接変換型FPDを搭載しました。直接変換型FPDではX線を電荷に変換し、電荷をTFTパネルの電極で収集することでX線情報を検出します。通常のTFTパネルは、電荷を収集する電極の形状が正方形であり、電極の角の部分で電界強度(*6)が乱れ、電荷の収集効率が下がります。電界強度の乱れは、一般的に角が鋭角になるほど大きくなります。当社が開発したHCP構造のTFTパネルでは、電荷を収集する電極の形状を六角形にしているため、電極の角が鈍角となり、電界強度の乱れが緩和されることで、電荷収集効率が向上し、X線検出感度が従来のパネルと比べて約2割向上しました。これにより、従来の「AMULET」シリーズよりも低線量で、高画質の画像を撮影できます。出力画素サイズは、従来の「AMULET」シリーズと同じ50μm(*7)です。
また、異なる角度から乳房の画像を複数撮影し、その画像を再構成して乳房内の断層像を生成するトモシンセシス機能にも対応しました。この機能を使えば、通常の撮影画像では、乳腺と腫瘤(しゅりゅう)が重なって見えることで、発見が難しかった病変の観察がしやすくなります。「AMULET Innovality」のトモシンセシス機能には、検診などに適した、撮影時間が短く低線量を優先したSTモードと、精検などに適した、画像分解能を優先し関心領域にフォーカスを合わせた観察が可能なHRモードの2つの撮影モード(*8)を搭載し、用途に応じて使用できます。
さらに、「AMULET Innovality」は、当社が本日から発売する、受診者の痛み低減を目指して開発した新構造圧迫板「FS圧迫板」(*9)にも対応しています。

当社は、平成20年から乳がん検査用デジタルX線撮影装置「AMULET」シリーズの発売を開始し、これまでに全世界で1,000台以上を販売してきました。また、撮影した診断画像から、微小石灰化や腫瘤など、乳がんに特徴的な領域を高い確率で検出する「デジタルマンモグラフィ CAD」や、マンモグラフィ画像を3D表示する「リアル3Dマンモグラフィ」など、独自の画像認識技術を生かしたデジタルマンモグラフィ関連製品を全世界に展開してきました。

富士フイルムは、今後も独自技術を生かした幅広い製品、サービスの提供を通じて、医療現場の多様なニーズにおこたえし、乳がんの早期発見と医療の質の向上に貢献していきます。

*1 FPDは、Flat Panel Detectorの略。被写体を通過して照射されるX線エネルギーを、X線透過画像として再構成するための電気信号に変換する機能を有し、画像診断のために必要な人体の部分を十分に覆う面積の平面をもつ、平板状のX線画像平面検出器のこと。
*2 異なる角度から複数枚の撮影を行った後、画像処理技術で複数の断層像を生成(再構成)する技術。通常撮影では乳腺構造と重なり発見しにくかった病変が、断層像では観察しやすくなることから、乳がんの早期発見に効果的と言われている。
*3 Innovalityは、Innovation(革新)とQuality(品質)を組み合わせた造語で、富士フイルムの登録商標です。乳がんの早期発見に革新的技術かつ高品質で挑み続ける当社の商品開発コンセプトを表現しています。
*4 当社調べ。
*5 TFTは、Thin Film Transistorの略。TFTパネルはFPDの中にあり、a-Se(アモルファスセレン)膜で生成された電気信号を画像情報として読み出す役割を担っている。
*6 電界強度とは、電荷を引き寄せる強さのこと。電界強度が強いほど電荷収集効率が向上する。
*7 読み取り画素のサイズは、面積換算で約68μm正方画素相当。
*8 STモード(Standard-Mode)は、異なる角度から乳房の画像を複数撮影する際の角度差を最小に抑え、撮影時間を最短化したモードです。静止画を連続して自動で表示し、効率的に断層画像を確認できます。HRモード(High Resolution-Mode)とは、異なる角度から乳房の画像を複数撮影する際の角度差を大きくし、深さ方向の分解能を向上したモードです。注目したい部分にフォーカスを合わせることができます。
*9 乳房と接触した際に乳房の厚みに沿って傾斜することに加え、前面部(胸壁部)と両側面部(左右)の計3か所に隙間(スリット)を設けることで、乳房を圧迫する際の圧力が面内で分散される設計になっている圧迫板。当社が展開する、マンモグラフィ検査を受診しやすい環境を提供することを目指したマンモグラフィ装置用のオプション「AMULET Harmony(アミュレット ハーモニー)」シリーズの1つ。


1. 発売予定日
平成25年5月15日

2. 品名
「AMULET Innovality (アミュレット イノバリティ)」
(薬事販売名:デジタル式乳房用X線診断装置 FDR MS-3500 / 認証番号:224ABBZX00182000)

3. 標準ユーザー渡し価格(税別)
1億2,000万円 (本体、ワークステーション)

4. 特長

(1) HCP構造TFTパネルを採用した新構造の直接変換型FPD搭載で、高画質と低線量撮影を実現
マンモグラフィで使用されるX線スペクトル領域で変換効率が優れたSe(セレン)を用いた直接変換方式のFPDに、当社が新たに開発したHCP構造のTFTパネルを搭載。X線から変換された電荷を高精細かつ高感度で効率的に収集し、従来の正方TFTよりも高いDQE(量子変換効率)(*10)を実現することで低線量撮影が可能となりました。

(2) 乳房内を断層像で観察できるトモシンセシス機能に対応 (オプション)
異なる角度から乳房の画像を複数撮影し、その画像を再構成して乳房内の断層画像を生成するトモシンセシス機能に対応。複数画像を再構成することで、ノイズを平均化し、見たい構造に焦点を合わせた画像を提供できます。この再構成された断層像により、通常撮影では乳腺と腫瘤が重なって見えることで、発見が難しかった病変の観察がしやすくなります。トモシンセシスは、検診などに適した、撮影時間が短く低線量を優先したSTモードと、生検などに適した、画像分解能を優先し関心領域にフォーカスを合わせた観察が可能なHRモードの2つの撮影モードを搭載し、用途に応じて使用できます。

(3) 多彩な機能搭載で、快適な撮影をサポート
[1] intelligent AEC(Auto Exposure Control)
低線量で模擬撮影した画像を解析することで、乳腺濃度(乳腺量)、インプラントなど(異物)の有無を瞬時に判断し、撮影線質(X線の強弱)・線量を決定します。手動にてセンサーの位置を選択するAECに比べて、最適な線量での撮影が可能になります。また撮影線量の見極めが難しいインプラントなどが入っている乳房でも、AEC撮影の範囲を広げることで、検査ワークフローの最適化を提案します。
[2] 緊張を和らげる洗練されたデザイン
体の形にフィットする安定感のあるアームレスト、顔が触れる箇所に凹凸を無くしたフェースガード、温かみのある間接照明、撮影室の雰囲気に合わせて選択できるデコレーションラベル(オプション)が、受診者の緊張を和らげます。
[3] 検査ワークフローに合わせた快適な操作性
ワンタッチで設定した角度に撮影台を回転させることができるシングルタッチ機能、患者情報とポジショニング(*11)情報を切り替え可能な患者情報表示機能、照射野サイズに合わせて自動で照射位置を切り替える自動照射野シフト機能などが、検査効率を向上させます。

*10 DQEは、Detective Quantum Efficiencyの略。検出器がX線情報をどの程度 無駄なく捕捉して画像の構成に役立たせているかの尺度。DQEが高いほど、高画質な画像が得られ、低線量化が可能になる。
*11 マンモグラフィ撮影時に、乳房の圧迫・固定を最適の位置で行うため、撮影前に位置を決める行為。

5. 主な仕様

*12 AmuletBellus(薬事販売名:富士画像診断ワークステーション SMV658型)と接続し3D表示できます。
*13 別売品です。

【お問い合わせ先】
お客さま 富士フイルムメディカル株式会社 営業本部 マーケティング部
TEL 03-6419-8033
報道関係 富士フイルム株式会社 広報部
TEL 03-6271-2000

企業サイトURL
http://fms.fujifilm.co.jp/
ニュース・プレスリリース
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0766.html

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