手術時の酸素・揮発性麻酔薬濃度を自動調整し安全性を高めた全身麻酔器を発売

安全な麻酔管理への取り組みを強化

GEヘルスケア・ジャパン株式会社
2012年11月2日

医療課題の解決に取り組むヘルスケアカンパニー、GEヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都日野市、社長:川上潤)は、安全な麻酔管理に向けた取り組みを強化します。
本日付で、麻酔時の酸素・麻酔剤の濃度を自動調整し安全性を高めるEtC(エンドタイダルコントロール)機能を全身麻酔器「エイシス」に追加し、麻酔器市場向けに発売します。

■高齢化の加速で増える手術・麻酔件数と安全な麻酔への高まるニーズ
厚生労働省の平成20年医療施設(静態・動態)調査によると、国内で全身麻酔下に行われる手術数は現在、年間約224万件。超高齢社会を迎え、生理的予備能の少ない高齢者の手術件数が特に伸びています。手術数に比例して麻酔の実施件数もシニア層を中心に増加傾向にあり、より安全な麻酔に対するニーズが一段と高まっています。
年間の手術・麻酔件数が伸びる一方、国内の病院数は年平均1.4%の割合で減少しており、その結果、一施設当たりの手術・麻酔件数は増加の一途を辿っています。そのため、麻酔科医が勤務していない医療施設もあり、より安全性の高い麻酔管理がこれまで以上に求められています。

■酸素・麻酔薬濃度の自動調整機能を搭載し、手術時の安全性を高めたエイシスEtC
GEヘルスケア・ジャパンは2011年度の国内高級器麻酔器市場で約74%のトップシェア(金額ベース、矢野経済研究所)を占めています。全身麻酔器の最上位機種「エイシス」は、国内で初めて*1、酸素や麻酔薬の濃度を自動調整するEtC(End-Tidal Control)機能を搭載し、低酸素症や術中覚醒の低減など患者さんの安全性向上や麻酔担当医の負担軽減に貢献すると期待されています。またEtC機能の搭載で術中の麻酔ガス濃度を的確に制御できることから、使用する麻酔薬の低減によるコスト削減や温室効果ガスの削減が見込まれています。

■販売戦略
当社は現在、「エイシス」「アバンス」「エスパイア」「エスティバ」の4ブランド体制で、フルデジタルの高性能機種からエントリーモデルまで幅広く全身麻酔器ラインアップを揃え、各医療機関のニーズにきめ細かく応えています。
今回発売するエイシスEtCをエイシスブランドの最上位機種と位置づけ、現在同装置を保有している医療機関のほか、大学病院や地域基幹病院などの大病院から、麻酔科のある一般病院まで幅広い医療機関を対象に販売します。また、同製品によって市場に技術力をアピールし、普及機を含めた全ラインアップの拡販を狙います。

当社は新技術の導入により、より安全な麻酔管理体制の構築を支援し、「人にやさしい、社会にやさしい」医療の実現に貢献することを目指します。

<エイシスEtCの開発背景と主要特長>
■これまでの予測にもとづく酸素・麻酔薬濃度の調整法とその課題
痛みや意識を取り除くだけでなく、術中の患者さんの全身管理を担う麻酔では、低酸素症や術中覚醒を防ぐために、酸素や麻酔薬の濃度を麻酔時の状況にあわせて的確に調整する必要があります。
濃度調整には麻酔深度を得る為に必要な酸素・麻酔薬濃度を予測し、その目標値を維持する方法が主に用いられており、現在は患者さんの体内への取込量を予測し麻酔薬の投与量(濃度%)を決めています。ただこの手法では、麻酔薬の投与量が過不足になり、不測の事態を引き起こす可能性があるほか、気化装置内の麻酔薬が枯渇して患者さんが覚醒してしまうケースもあります。

■呼気をもとに酸素・麻酔薬濃度を制御し、低酸素症や術中覚醒の低減が見込まれるエイシスEtC
エイシスEtCは、患者さんの実際の呼気に含まれる酸素・麻酔薬濃度を目標値として入力し、吸気側の酸素・麻酔薬濃度を麻酔器で自動調整するEtC機能を国内で初めて*1搭載。吸気中の酸素・麻酔薬濃度を制御できるため、的確な低流量麻酔を実施できるようになるほか、患者さんの状態が急変するような場面でもリアルタイムに対応可能になるなど、麻酔深度の精度を高めます。
より正確な麻酔深度を可能にすることにより、低酸素症や術中覚醒の低減など麻酔の安全性が一段と高まると期待されています。また、酸素・麻酔剤濃度を的確に制御できることから、従来に比べて一回当たりに使用する麻酔薬の削減を可能とし、環境負荷の低減に貢献すると期待されています。

東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座 准教授の木山秀哉先生は、「麻酔回路のリークが少ないエイシスは、以前から低流量麻酔に適した麻酔器ですが、酸素供給量と患者さんの酸素消費量が近いため、回路内酸素濃度が低下する場合があり、厳重な監視が必要でした。低流量麻酔では、揮発性麻酔薬の使用量を少なく抑えられますが、気化器の濃度設定を変更するだけでは、迅速に麻酔薬濃度を上昇させることができません。新しい機能 EtCは、呼気中の酸素・揮発性麻酔薬濃度を直接制御するため、低酸素症の防止につながり、麻酔薬濃度を迅速に調節できます」と、国内初*1となる酸素・麻酔ガス濃度の自動調整機能に対し高い期待を寄せています。

*1:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構で公開されている承認情報(医療機器)において


▲酸素・麻酔薬濃度の自動調整機能を搭載し、手術時の安全性を高めたエイシスEtC

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