GEヘルスケア・ジャパン、クラウドコンピューティング型データホスティング・サービス「医知の蔵」の本格運用を開始

地域医療連携など国内の医療課題の解決・患者のQOL向上に向けた第一歩

GEヘルスケア・ジャパン株式会社
2012年3月30日

GEヘルスケアグループ(以下GEヘルスケア)の世界中核拠点の1つであるGEヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都日野市、社長:川上潤)は本日3月30日(金)、クラウドコンピューティングを活用した医療用画像のデータホスティング・サービス「医知の蔵(いちのくら)」(http://www.ichino-kura.jp)の本格運用を開始します。
医知の蔵は、PACS*1(医用画像管理システム)を導入している顧客医療機関が撮影したCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴断層撮影装置)、PET(陽電子放射断層撮影装置)などの医用画像を、ソフトバンクテレコム株式会社(本社:東京都港区、社長:孫正義)の保有するデータセンター設備を活用して院外保存するクラウド型の医療サービス。大手ヘルスケア企業と国内トップクラスの通信会社によるデータホスティング事業は国内初で、当社は医用画像の保存に関する運用管理業務を手掛けます。

本格運用に先立ち、昨年9月から深谷赤十字病院(所在地 埼玉県深谷市、院長:諏訪敏一、http://www.fukaya.jrc.or.jp/)において、医知の蔵の試験運用を手がけてきました。そしてこのほど同院においてサービスの安定化に向けた評価・検証を完了するとともに、当社製のみならず他社製PACSへの対応など社内外の各種体制整備を完了し、本日の本格運用開始に至りました。
深谷赤十字病院でパイロット運用にあたった清水文孝 放射線科部技師長(日本赤十字放射線技師会会長)は、「当院はハードウェアの老朽化や設置スペースといったシステム・設備面での課題解決に加え、保管画像の多様化・大容量化や大規模災害対策など将来を見据えた対策を講じる必要がありましたが、高度なセキュリティを確保した上で医用画像を外部保管する『医知の蔵』は、当院が抱える課題を解決する最適なサービスだと判断し導入を決定しました。」と、医知の蔵を評価しています。

医知の蔵を導入することで、医療機関は加速度的に増大し続ける大容量の医用画像データを、院内と同等の利便性を残したまま、各種ガイドライン*2に対応したセキュリティ体制のもとで外部保管できるようになります。外部保管に伴い、これまでの院内保存時にかかっていた保管スペースやサーバー代、電気代、その他運用管理にかかるコストが一部不要になるため、医療機関は核となる診療行為に資源をより集中投下し経営効率を改善できると見込まれています。また医用画像は、プライマリーデータセンターと国内遠隔地に設置されたバックアップ用のセカンダリデータセンターの2カ所で同期・二重化保管されるため、医療機関のディザスタリカバリ(災害時復旧)体制の強化にもつながります。

当社は昨年7月に医知の蔵の販売を開始、海外におけるデータホスティング事業の実績に加え、画像を院内保存する場合に比べた中長期の総管理コストの削減効果や高いセキュリティなどのメリットをテコに、現在国内で数百に上るPACS導入顧客を中心に拡販を図っています。
当社は今回の医知の蔵の本格運用開始を皮切りに、今後中小規模病院や診療所に向けたPACSのASPサービス*3や、病院間で医療画像を相互活用できるサービスの事業化に向けた取り組みを進め、急速に進む超高齢社会に不可欠な在宅医療や地域医療連携、遠隔医療など日本の医療課題の解決に貢献することを目指します。

<医知の蔵(いちのくら) 概要(当社製PACSの場合)>

・名称の由来
医知の蔵は、「医」で医療機関を対象にしていること、「知」で画像を単なるデータとしてだけでなく、知識・知恵・知見を駆使し情報を取り扱うこと、「蔵」でこの「知」を保存・保管するサービスを表します。

・特長
GEヘルスケアのPACSは2ティア型と呼ばれる、「短期ストレージ」(主に撮影から3〜5年以内の画像を保管)と「長期アーカイバー」(病院が電子保管を決定したすべての撮影画像を保管)の2層構造という特長を有しており、医知の蔵ではこの長期アーカイバーに保管されている画像を対象とします。このユニークな2層構造型PACSにデータホスティング・サービスを組み合わせることで、医療機関はこれまでにない以下のようなメリットを享受できます。

1. 短期ストレージ(STS)は引き続き院内に置くため、直近に撮影し頻繁にアクセスするデータはこれまでと同様、院内の高速ネットワークを活用した迅速な読影・参照が可能。
2. 長期アーカイバーを院外のデータセンターに持つため、長期・短期とも院内に保存されている現状に比べてディザスタリカバリ能力が大幅に向上するだけでなく、さらにバックアップ用のセカンダリデータセンターを遠隔地に用意することでより強固な災害対策を実現。
3. 当社が、PACSの保証期間中又は保守契約を締結している医療機関に対して既に提供しているセキュリティの確保された保守回線(InSiteR)を利用可能なため、院内システムとデータセンター間をつなぐ高速回線の新設が不要*4。その結果、低コストかつ短期間でのサービス導入を実現(院内の環境によって異なる場合があります)。
4. データセンターで保管する長期アーカイバー内に、院内で保存する短期ストレージ(STS)内の画像も含まれているため、将来院内の短期ストレージを交換する際にも、より効率的かつ経済的なデータ移行が可能



*1 PACSはPicture Archiving and Communication Systemの略で、CTやMRIなどの診断装置で撮影したデジタルの画像データを、保管、閲覧、管理するシステム。従来の撮影時に使用されていたフィルムの現像や運搬、ならびに保管が不要となるため、画像診断が迅速化され、患者の検査後の待ち時間が短縮されるほか、フィルム保管などにかかるコストが削減可能となる。
*2 ASP・SaaS事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン第1.1版(2010年12月総務省)、医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン(2008年7月経済産業省)。
*3 ASPはApplication Service Providerの略で、業務用のアプリケーションソフトをネットワーク(特にインターネット)を利用して、顧客にレンタルする事業者あるいはサービスを指す。PACSのASP サービスとは、院内にサーバーを立てることなくPACSソフトウェアをインターネット経由で利用することのできるようなサービスを想定している。
*4 顧客医療機関において既設のInSite回線が光回線でない場合には光回線の敷設、またデータセンター運用に対応したルータの設定が必要となる。

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