GEヘルスケア・ジャパン、新開発のCT用画像再構成技術を提供開始
CT検査の被ばく量がついに一般レントゲン撮影並みに!
- GEヘルスケア・ジャパン株式会社
- 2011年5月13日
GEヘルスケアグループ(以下「GEヘルスケア」)の世界中核拠点の1つであるGEヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都日野市、代表取締役社長:熊谷昭彦)は本日5月13日(金)、一般X線撮影並みの低被ばくと従来機を上回る高画質を両立させたCT(コンピューター断層撮影装置)用画像再構成技術「VeoTM(ヴェオ)」を、全国の研究機関、ならびに大学病院や地域基幹病院などの大・中規模施設を主対象に提供開始します。
Veoは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)がこれまで培ってきた技術の粋を結集して開発した独自の画像構成技術。通常のレントゲン撮影と同等の低被ばくと現行のCTを上回る高画質という相反する要素を両立させ、被ばく量を現行機種(GEヘルスケア製最上位機種「Discovery CT750 HD」)の約9割減の1ミリシーベルト(mSv)以下と、一般のX線撮影と同レベルまで低減しながら、高分解能で高画質撮影を可能にしています。
CT検査では避けられない被ばくを一般X線撮影と同レベルまで削減することで、患者の負担を飛躍的に軽減するほか、低被ばくながら病変部の位置を従来のCT以上に正確に描出できるため、これまで被ばく量の関係でCT検査が難しかった骨盤や肝臓・膵臓・腎臓内の腫瘍の早期発見への貢献が期待されます*1(下図参照)。また、小児や妊婦など被ばく量の制限が厳しい患者への応用も期待されています*1(その他の特長を以下に記載)。
■Veoの仕組み:ノイズパターンのみならずシステムモデルまで組み込んだ新概念の逐次近似再構成法
Veoでは、従来のCTでは除外されていた患者の位置やX線焦点の大きさ、X線検出器のセルサイズ、画像ボクセルサイズ、そしてそれらをつなぐX線の幾何学的陰影など、撮影時に発生する物理現象を数学的にモデル化し、独自の高度な逐次近似再構成の演算プロセスに組み込み、さらに様々なノイズモデルを加味して精緻に再構成します。そのため、現在では再構成の完了までに60分以上かかります。
従来のCTでは、このようなX線焦点サイズやX線検出器のセルサイズなどを全く考慮していないため、秒間数十枚単位で高速計算できる反面、再構成時にボケが発生しやすくなるという課題がありました。これまでは、再構成関数によって画像の分解能を改善し、ボケの解消に努めてきましたが、分解能とノイズは高分解能になればノイズもアップするというトレードオフの関係にあり、さらなる低被ばく撮影や画質改善には限界がありました。
Veoでは、独自開発の極めて複雑かつ精密な再構成を行うことでこの課題を克服、多様な撮影条件において正確かつ迅速な読影を可能にしました。
▲画像再構成のイメージ図(左:Veo非搭載CT/右:Veo搭載CT)
■Veo:その他の特長1 関数の概念をなくし、一度の再構成であらゆる組織を描出可能に
従来のCTでは、筋肉・臓器などの軟部組織や骨、肺といった検査する部位や組織ごとに撮影データを分け、異なる再構成関数にもとづいて、個別に画像を再構成する必要がありました。Veoではこの関数の概念をCT画像再構成において初めてなくし、すべての部位・組織を1つの画像に集約します。再構成した画像はウインドのレベルとワイズ(コントラスト)の調整だけで、筋肉などの軟部組織から骨組織までクリアに描出可能です。
▲再構成画像(左:Veo非搭載CT/右:Veo搭載CT)通常のCTでは上記3画像を別々に再構成する必要があるが、Veoでは1回のみ
■Veo:その他の特長2 ASiRとの併用で多彩な読影ニーズに対応
Veoは、CTで初めてガーネットを使用した「Gemstone」検出器を搭載し、医療機関からのニーズが最も高いスライスごとの分解能の大幅な向上を実現した世界初(2008年10月発売時)のハイデフィニション・マルチスライスCT「Discovery CT750 HD」(2008年10月発売)に搭載できます。同装置には、最速35枚/秒での統計学的逐次近似高速画像再構成が可能な「エイサー(ASiR)*2」を標準搭載しており、読影医はニーズに応じて最低60分かかるVeoでの高精細な画像再構成とルーチンで使用可能なASiRを使い分けることで、より効率的かつ効果的な読影が可能です。
Veoのシステム本体は、全112コアのCPU、168GBのメモリを搭載した高性能サーバーで(右写真参照)、Discovery CT750 HDとの接続が可能。再構成が夜間や祝休日にかかることを考慮し、24時間/365日の安定稼働に向け、不具合が起こった場合でもシステムを停止させることなく修理可能な仕様にしているほか、電源ユニットの冗長化も図っています。
Veoは米ゼネラル・エレクトリック(GE)が2009年5月に立ち上げた医療に関するビジネス戦略「ヘルシーマジネーション(healthymagination)*3」の厳しい認証審査をクリアした製品で、既に欧州で販売を開始したほか、国内でも慶應義塾大学病院、東京大学病院、東京女子医科大学東医療センター、大阪大学病院、近畿大学病院、三重大学病院の6施設に先行導入されています。
当社は、1998年に世界初*4のマルチスライスCT「LightSpeed QX/i」を発売して以来、2001年に「LightSpeed Ultra」、2002年には「LightSpeed Ultra 16」を発売。その後2004年に、5心拍(約5秒)での心臓撮影を実現したボリュームCT「LightSpeed VCT」、2008年には今回発売するVeoを搭載可能な「Discovery CT750 HD」、そして昨年4月には、国内の医療機関の声をもとに日本で開発・製造した「Optima CT660 Pro」を発売するなど、医療機関のニーズを満たす製品を幅広く送り出してきました。
当社は、今回発売するVeoを既に対象装置を導入している33の医療機関に積極的に販売するほか、同技術の臨床的価値を大学病院や地域基幹病院、ならびに大規模医療施設を主対象に訴求することで新規顧客開拓を進めます。さらに、最上位機種から普及機までの全ラインアップのさらなる積極的な拡販を展開し、国内のCT市場におけるナンバーワンの地位獲得を目指します。
*1 出典:GE発行のCT Magazine「Clarity」(2011年6月末発刊予定)
*2 ASiR(エイサー)は、統計学的手法を逐次近似画像再構成プロセスに組み込むことで、撮影画像から密度分解能を左右する画像ノイズやアーチファクト成分のみを除去する技術。照射するX線量が同一の場合の密度分解能を従来に比べて最大20%向上し1枚ごとの画質を向上。逆に従来と同等の画質であれば被ばく量を最大40%削減
*3 「ヘルシーマジネーション(healthymagination)」は、世界が直面する深刻な医療問題の真の解決を目指して、2009年5月にGEが策定したヘルスケアに関する新戦略。2015年までに60億ドルを投じて、地域に適した技術開発、ヘルスケアITの加速、格差のない医療の提供、在宅医療の推進の4分野で、100種類のイノベーションを実施し、15%の医療コストの削減、15%の医療アクセスの拡大、ならびに15%の医療の質向上を実現することを目指しています。ヘルシーマジネーションの詳細はwww.healthymagination.comをご参照ください。
*4 出典:1998年9月16日付「Diagnostic Imaging」
■Veo搭載CTとVeo非搭載CTで撮影した再構成画像(同一の被ばく量で撮影)
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