院外心停止患者の5%に心電図ではみえない心室細動
Incidence and Clinical Relevance of Echocardiographic Visualization of Occult Ventricular Fibrillation: A Multicenter Prospective Study of Patients Presenting to the Emergency Department After Out-of-Hospital Cardiac Arrest
背景
心停止中の心室細動(VF)の検出はふつう心電図検査に依存するが、心電図によるVF検出精度は不明である。心エコー検査によって、心電図のリズムに現れない潜在性(occult)VFを検出しうることが複数の研究から示唆されているが、その臨床的意義は不明である。
アメリカUniversity of Massachusetts Chan Medical SchoolのGaspariらは、アメリカ・カナダの28施設において、院外心停止後に救急外来に来院した患者のうち、心エコー検査と心電図検査が同時に実施された患者を対象に、潜在性VFの割合、およびその臨床転帰について調査する多施設共同前向研究を実施した。
結論
811名の患者のうち、5.3%に潜在性VFが認められ、24.9%は心電図でVFが認められた。
潜在性VF患者(n=43)のうち、81.4%では心電図上で無脈性電気活動(PEA)が、18.6%では心静止が認められた。
潜在性VF患者では心電図VF患者よりも除細動実施率が低かった(30.2% vs. 54.0%)。除細動によるVFの停止は、潜在性VF患者と心電図VF患者で有意差はなかった(75.0% vs. 55.6%)。自己心拍再開率(39.5% vs. 24.8%)、生存退院率(7.0% vs. 5.4%)にも有意な差は認められなかった。
評価
院外心停止後患者の20人に1人の割合で、心電図では検出されない潜在性VFが認められた。
心エコーによりこれらのショック適応患者を発見できるメリットは重要に思えるが、アウトカム改善につながるかは不明瞭であり、追加の検証を待つ必要がある。

