MSSA菌血症に対するセファゾリンはクロキサシリンに非劣性:CloCeBa試験
Cloxacillin versus cefazolin for meticillin-susceptible Staphylococcus aureus bacteraemia (CloCeBa): a prospective, open-label, multicentre, non-inferiority, randomised clinical trial
背景
メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)による菌血症に対しては、国際的に、クロキサシリンをはじめとした抗黄色ブドウ球菌ペニシリン(anti-staphylococcal penicillins: ASPs)が標準使用されている。近年のエビデンスは、セファゾリンがASPsと同等の効果と、優れた安全性プロファイルを持つことを示唆しているが、RCTは実施されてこなかった。
フランスUniversité Paris CitéのBurdetら(CloCeBa)は、同国21の病院で、血管デバイスや中枢神経系感染でないMSSA菌血症の成人患者を対象に、7日間のセファゾリン、またはクロキサシリンへの割り付けを行い、複合有効性エンドポイントを比較する非劣性RCTを実施した(n=315)。
複合有効性エンドポイントには、3日目の細菌学的成功(血液培養)、90日目の生存、90日目に臨床的成功が含まれた。
結論
有効性エンドポイント率はセファゾリン群で75%、クロキサシリン群で74%であり、設定された非劣性マージンを満たしていた。
治療終了時点で、セファゾリン群の15%、クロキサシリン群の27%に重篤な有害事象が認められた。また、急性腎障害はセファゾリン群1%、クロキサシリン群12%で発生した。
評価
MSSA菌血症に対するセファゾリンは、有効性についてクロキサシリンに劣らず、毒性も少なかった。
日本ではASPsが単剤では未承認で、セファゾリンがすでに第一選択なため、影響は小さいかもしれないが、セファゾリンをASPsのオルタナティブとして確立する高品質のエビデンスとなる。

