免疫療法が非適応の進行トリプルネガティブ乳がんにサシツズマブ ゴビテカン:ASCENT-03試験  
  
    Sacituzumab Govitecan in Untreated, Advanced Triple-Negative Breast Cancer  
    
  
背景
転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の6割はPD-L1陰性(複合陽性スコア[CPS]が10未満)であり、免疫チェックポイント阻害薬の適応とならない。また、免疫チェックポイント阻害薬による治療後に再発した患者での治療法も欠いている。
スペインInternational Breast Cancer CenterのCortésら(ASCENT-03)は、世界30ヵ国229施設で、使用歴または併存疾患によりPD-1・PD-L1阻害薬の適応とならない未治療・進行TNBC患者を対象に、Trop-2標的抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカン、または化学療法を割り付け、無増悪生存期間を比較する第3相RCTを実施した(n=558)。
結論
無増悪生存期間(中央値)は、サシツズマブ ゴビテカン群で9.7ヵ月、化学療法群で6.9ヵ月であった(ハザード比 0.62)。
客観的奏効はサシツズマブ ゴビテカン群の48%、化学療法群の46%で確認され、奏効期間(中央値)はそれぞれ12.2ヵ月、7.2ヵ月であった。グレード3以上の有害事象は、サシツズマブ ゴビテカン群の66%(好中球減少症・下痢・白血球減少症など)、化学療法群の62%(好中球減少症・貧血・白血球減少症など)で発生した。治療中止に至った有害事象発現率は、それぞれ4%、12%であった。
評価
PD-1・PD-L1阻害薬の適応とならない進行TNBC患者の初回治療において、サシツズマブ ゴビテカンはPFSを延長し、治療中止も化学療法より少なかった。
PD-L1陽性TNBCでのペムブロリズマブとの併用を検証したASCENT-04試験も、サシツズマブ ゴビテカンによる追加的な生存ベネフィットを示唆しており(https://doi.org/10.1200/JCO.2025.43.17_suppl.LBA109)、進行TNBCの新しいスタンダードとなりうる。

