救急外来の片頭痛患者にアプリベースの漸進的筋弛緩法  
  
    Smartphone-Based Muscle Relaxation for Migraine in the Emergency Department: A Randomized Clinical Trial  
    
  
背景
片頭痛は救急外来受診患者の一般的な診断の一つであるが、外来からの帰宅後に症状が持続・再発するケースが多く、再受診率の高さにつながっている。
アメリカNew York University Langone HealthのMinenらは、同施設の救急外来を受診し、片頭痛の診断基準を満たし、かつ月4日以上の片頭痛を申告した成人患者に対して、スマートフォンアプリでの漸進的筋弛緩法(progressive muscle relaxation: PMR)の視聴(介入群)、または同アプリでの症状日誌の作成(対照群)を指示し、片頭痛関連障害(Migraine Disability Assessment: MIDAS)の変化を比較するRCTを実施した(n=94)。
結論
73%が修正ITT集団に含まれた。
MIDASスコアの変化の平均は介入群で25.09、対照群で6.86と有意に異なっており、介入群ではMIDASスコアが5ポイント以上改善した患者の割合がほぼ2倍となった(82.4% vs. 45.7%)。
二次アウトカムである片頭痛特異的なQOL(Migraine-Specific Quality of Life Questionnaire v2)、および月間頭痛日数の平均変化には群間差を認めなかった。
評価
PMRは、筋肉を意図的に短時間緊張させ、その後ゆっくりと脱力するプロセスを身体各部で行うリラックス法で、片頭痛・緊張型頭痛の有効な非薬物療法として認められつつある。
本研究は、片頭痛の基準を満たした救急外来患者にスマホアプリのPMR音声セッションを紹介することで、機能障害が有意かつ用量依存的に軽減することを示した。PMR自体はアプリには依存しないため、退院時バンドルの一部として採用することは可能だろう。

