殺虫剤塗布ベビーラップでマラリアを予防
Permethrin-Treated Baby Wraps for the Prevention of Malaria
背景
サハラ以南アフリカのマラリア対策は、行き詰まっている。
アメリカUniversity of North CarolinaのBoyceらは、布で包んだ子供を背負うベビーラップ(Baby Wrap)という伝統的な慣習を活用し、布に殺虫剤(0.5%ペルメトリン)を塗布することでマラリアに対する防御効果が得られるかどうかを、生後6〜18ヵ月の子供とその母親400組を対象としたRCTで検証した(対照:プラセボ)。
一次エンドポイントは、子供の臨床マラリア発生(発熱とマラリア迅速診断検査で定義)であった。
結論
介入の一次エンドポイント効果を認めた[介入群(100人週あたり0.73) vs. 対照群(2.14: 発生率比0.34)]。介入群では対照群よりも発疹が頻繁に報告された(8.5% vs. 6.0%)。有害事象は軽度であり、安全性懸念はみられなかった。
評価
先行パイロット研究を最終確認するために行われた大規模RCTである。地方文化に防疫を織り込む、というユニークな手法であり、使用率は高かった。マラリア予防では蚊帳が重視されるが、屋外や日中の時間帯では無益であり、蚊帳の欠陥を埋める有望な手法でもある。他方、工場での薬剤含浸処理(Factory impregnation)など、長期的な実施戦略と再処理の頻度に関するさらなる研究が必要である。また、ペルメトリン曝露の子どもの神経発達への影響を評価するための長期追跡調査も求められている。