小児虫垂炎での非手術的管理は良い選択肢なのか?:メタ解析
Reevaluating Nonoperative Management for Pediatric Uncomplicated Acute Appendicitis: A Systematic Review and Meta-Analysis
背景
単純性急性虫垂炎の管理では、抗菌薬投与による保存的管理と虫垂切除術のいずれを選択すべきか。成人に比して、小児ではエビデンスレベルが高いとは言い難かったが、2025年には初の大規模ランダム化比較試験、APPY試験が登場している(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(24)02420-6)。
アメリカUniversity of Texas Medical BranchのFariaらは、18歳未満の単純虫垂炎患者において、非手術的管理と虫垂切除術を比較したRCTを特定し、1年治療失敗率・治療成功率・主要合併症について比較するシステマティックレビュー・メタアナリシスを実施した。
結論
1,480名の小児患者を登録した、計7件のRCTが選択基準を満たした。
1年治療失敗率は、虫垂切除術群と比して非手術的管理群で有意に高かった(リスク比 4.97)。非手術的管理群では1年治療成功率も有意に低かった(リスク比 0.67)。さらに、Clavien-Dindo分類でIIIb以上の重篤合併症も、非手術的管理群で多く認められた(リスク比 33.37)。
非手術的管理群での虫垂炎再発率は、経過観察者100名につき18.47イベントであった。非手術的管理群では学校への復帰(平均差−1.36日)、通常活動への復帰(−4.93日)がやや早かったものの、再発による再入院・介入によって相殺された可能性がある。
評価
抗菌薬を併用した非手術的管理は、治療失敗率の上昇、再入院リスクの上昇と関連した。また、早期復帰というベネフィットも再入院などにより相殺された可能性があった。
非手術オプションは近年人気を博しているが、こうしたデータに照らせば、その意義は再考されるべきかもしれない。