ホルモン療法中のホットフラッシュにニューロキニン標的療法Elinzanetant:OASIS-4試験
Elinzanetant for Vasomotor Symptoms from Endocrine Therapy for Breast Cancer
背景
ホルモン受容体(HR)陽性乳がんに対する内分泌療法を受けている患者では、ほてり・発汗・冷えなどの血管運動神経症状(vasomotor symptoms: VMS)が多くみられるが、効果的な治療は乏しい。
ポルトガルChampalimaud Clinical CenterのCardosoら(OASIS-4)は、世界90施設で、HR陽性乳がんに対する内分泌療法に関連して、中等度・重度のVMSを有する18〜70歳の女性を、選択的ニューロキニン-1/3受容体拮抗薬elinzanetant群、またはプラセボ群へと2:1の比率で割り付け、VMSの発現頻度を評価する第3相RCTを実施した(n=474)。
Elinzanetant群では1日1回52週間のelinzanetant投与、プラセボ群では同期間のプラセボ投与後、40週間elinzanetantが投与された。
結論
Elinzanetant群では、中等度以上のVMSがベースライン時点で1日平均11.4エピソードであったのに対し、4週目には平均−6.5エピソードの減少が認められた。プラセボ群ではベースラインの11.5エピソードから−3.0エピソード減少した。
12週時点ではelinzanetant群で−7.8エピソード、プラセボ群で−4.2エピソードの減少となった。
1〜12週の期間中に、elinzanetant群の69.8%、プラセボ群の62.0%で、投与下発現した有害事象が報告された。
評価
NK-3受容体はKNDyニューロンの活性化の主役であり、NK-1受容体はそれを増強し周辺症状にも関与する。
NK-1/3を二重拮抗するelinzanetantは、OASIS-1/2試験において更年期のVMSへの有効性を示しており(https://doi.org/10.1001/jama.2024.14618)、この試験では乳がん内分泌療法中のVMSへの有効性も実証された。
QOLを悪化させ、アドヒアランスの低下にもつながる重要な副作用が攻略可能となったことの意義は大きい。