最大のメタアナリシスで降圧薬の併用・増量効果予測を可能にするモデルを構築
Blood pressure-lowering efficacy of antihypertensive drugs and their combinations: a systematic review and meta-analysis of randomised, double-blind, placebo-controlled trials
背景
高血圧治療における、ACE阻害薬(ACEI)・ARB・β遮断薬・カルシウム拮抗薬(CCB)・利尿薬という主要薬剤クラスの単剤/併用療法に関しては、継続的レビューが必要である。
オーストラリアUniversity of New South WalesのRodgersらは、484件(104,176名)のRCTを解析する系統レビュー・メタアナリシスを実施した。
一次アウトカムは、プラセボ補正収縮期血圧(SBP)の低下であった。
結論
標準用量の単剤療法は平均8.7 mmHgのSBP低下を示し、用量倍化ごとに1.5 mmHg低下した。標準用量での単剤療法のうち、79%が低強度(SBP低下<10 mmHg)に分類されたが、二剤併用では58%が中強度(10〜19 mmHg)、11%が高強度(≧20 mmHg)に分類され、降圧薬の任意の組み合わせで期待される降圧効果を推定できる堅牢な推定値(robust estimates)と、その推定を可能にした有効性モデル(efficacy model)が構築された。
評価
降圧薬に関するRCTは膨大で、定期的メタアナリシスが必要だが、この論文は10万人に関する500件のRCTを定量的に統合するという、最大で初めてのものである。結論の提示も、用量倍化効果の定量化や併用効果を簡明な3レベルで示すなど、分かりやすい。降圧薬クラス内・クラス間での有効性に大きな異質性があることも確認されている。臨床医は、患者のベースライン血圧と目標降圧値に基づき、ここでのモデルを用いて治療戦略を選択することが可能となった。