AFへのasundexianのOCEANIC-AF第3相試験が失敗
Asundexian versus Apixaban in Patients with Atrial Fibrillation
背景
新規経口第XIa因子(FXIa)阻害薬asundexianは、脳卒中高リスク心房細動(AF)患者を対象とした第2b相RCTで有望結果を示した(https://www.medicalonline.jp/review/detail?id=6197)。
アメリカDuke UniversityのPicciniら(OCEANIC-AF)は、AF高リスク患者14,810名を対象として、1日1回50 mgのasundexian投与が、脳卒中・全身性塞栓症予防においてアピキサバン2用量に対し、非劣性であるか、また出血回避において優位であるかを検証する第3相国際RCTを行った。全群の平均CHA 2 DS 2 -VAScスコアは4.3であった。
結論
Asundexianの劣性が明らかとなり、試験は早期終結した。追跡期間24ヵ月間で、asundexian群は、アピキサバン群に比して、脳卒中・全身性塞栓症の原因別ハザード比(csHR)が3.79であった(虚血性脳卒中または全身性塞栓症で4.38、虚血性脳卒中で4.06)。Asundexian群では国際血栓止血学会(ISTH)大出血の発生率とリスクが低かった(csHR 0.32)が、純臨床有益性エンドポイント(脳卒中・全身性塞栓症・ISTH大出血の複合)のリスクはアピキサバンと比較して高かった(csHR 1.61)。
評価
Bayerの創薬で、第2相結果が極めて有望であったため、日本を含む最大規模の国際第3相試験のこの失敗は衝撃であり、大きなニュースになった。ただし、事前指定事後解析では、ベースラインで抗凝固薬を服用したことのないasundexian群の患者では、アピキサバンと比較すると、依然として高いものの、脳卒中のリスクは低かった(HR=1.42)という。用量選択の誤り、などという説もあるが、このクラスの薬の行方に疑問を投げかける深刻な結果である。