VCTEベースのAgileスコアでMASLDの予後を予測:VCTE-Prognosis
Vibration-Controlled Transient Elastography Scores to Predict Liver-Related Events in Steatotic Liver Disease

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
March 2024
331
開始ページ
1287

背景

代謝関連脂肪性肝疾患(MASLD)の非侵襲的検査として、振動制御一過性エラストグラフィー(VCTE)ベースのAgileスコアを使えるか。
中国The Chinese University of Hong Kong(香港中文大学)のLinら(VCTE-Prognosis)は、VCTE検査を受けた18歳以上のMASLD患者16,603名を対象として、これを検討するコホート研究を行った。VCTEによるAgileスコアを、組織学的検査および他の8つの非侵襲的検査と比較した。一次アウトカムは、肝臓関連イベント(LRE:肝細胞癌または肝代償不全[腹水・静脈瘤出血・肝性脳症・肝腎症候群]・肝移植・肝関連死亡)である。

結論

追跡期間中央値51.7ヵ月で、1.9%がLREを発症した。Agile3+スコアとAgile4スコアが、LRE予測において最高の識別力を達成した(AUC 0.89)。
これら患者の65.8%に対し、中央値15ヵ月間隔で繰り返しVCTE検査を行った。患者の81.9%が安定したAgile3+スコアを有し、92.6%が安定したAgile4スコアを有した。LREの発生率は、Agile3+スコアが持続的に低い患者では1,000人年あたり0.6、Agile3+スコアが持続的に高い患者では1,000人年あたり30.1であった。ベースラインでAgile3+スコアが高い患者では、スコアの20%以上の低下はLREリスクの大幅低下と関連した。Agile4スコアでも同様の傾向がみられたが、低リスクグループでは、より多くのLREを見逃した。

評価

多国籍大規模コホート研究により、非侵襲的検査VCTEベースのAgileスコアのMASLD予後予測力が、肝生検に優れずとも非劣性であることを示した。両検査の済分けの可能性を開くもので、診断確定患者のフォローアップに最適であるばかりでなく、臨床試験でも肝生検を相当程度代替できるとみられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell