セマグルチドは肥満患者の抗心不全(HFpEF)薬:STEP-HFpEFとSTEP-HFpEF DMのプール解析
Semaglutide versus placebo in people with obesity-related heart failure with preserved ejection fraction: a pooled analysis of the STEP-HFpEF and STEP-HFpEF DM randomised trials

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
April 2024
403
開始ページ
1635

背景

STEP-HFpEFとSTEP-HFpEF DMは、GLP-1受容体作動薬セマグルチドの駆出率保持心不全(HFpEF)肥満患者への有益性を示した。
アメリカSaint Luke's Mid America Heart InstituteのKosiborodら(STEP-HFpEF)は、STEP-HFpEF(n=529)とSTEP-HFpEF DM(n=616)のプール解析により、様々なアウトカムにおけるセマグルチドの効果が、主要患者サブグループ間で一貫しているかどうかを検討した。
STEP-HFpEFでは、糖尿病(DM)またはHbA1c 6.5%以上の患者は除外されたが、STEP-HFpEF DMは、2型糖尿病(T2DM)患者のみが参加した。
二重一次エンドポイントは、すべての参加者におけるKCCQ-CSSと体重のベースラインから52週目までの変化である。

結論

プール解析には、マグルチド群573名、プラセボ群572名が含まれた。二重一次エンドポイントにおけるセマグルチドの効果を確認した(KCCQ-CSSのベースラインから52週目までの変化の群間差:7.5ポイント, 52週目の体重の群間差:-8.4%)。二次エンドポイント(6MWD・CRP)でも実薬の効果を認めた。一次エンドポイントに関するセマグルチドの有効性は、年齢・人種・性別・BMI・収縮期血圧・ベースラインCRP・LVEFに関するサブグループでほぼ一貫していた。セマグルチド群で161件の重篤有害事象が報告されたのに対し、プラセボ群では301件が報告された。

評価

NEJMに同時発表されたSTEP-HFpEF DM結果(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2313917)をSTEP-HFpEF結果とのプール解析結果によって拡大・補強した論文である。セマグルチドが、肥満患者の抗心不全薬であることを確定した。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)