難治性狭心症に対する冠静脈洞減圧(CSR)療法:ORBITA-COSMIC
Coronary sinus reducer for the treatment of refractory angina (ORBITA-COSMIC): a randomised, placebo-controlled trial

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
April 2024
403
開始ページ
1543

背景

冠動脈洞減圧デバイス(CSR)は、冠状静脈洞に経皮的に埋め込まれ、冠血流を改善し、狭心症症状を軽減するとされる。
イギリスImperial College LondonのAl-Lameeら(ORBITA-COSMIC)は、18歳以上の狭心症・安定冠動脈疾患・虚血で、他に治療法がない患者61名を対象として、その効果・安全性を検証するRCTを行った。患者をCSR植え込み処置群とシャム処置群に無作為に割り付け、参加者と責任医師は、割り付けについてマスクされた。患者は、アデノシン負荷MRI・症状アンケート・トレッドミル運動負荷試験後、2週間の評価段階に入り、スマートフォンアプリを用いて狭心症症状を報告した。6ヵ月追跡後の一次アウトカムは、登録時に虚血と判定されたセグメントにおける、アデノシン負荷MRI時の心筋血流(客観指標)、および1日の狭心症エピソード数(主観指標)である。

結論

画像化された800心筋セグメントの57%が登録時に虚血であり、負荷心筋血流量中央値は1.08 mL/min/gであった。虚血セグメントの心筋血流(一次客観アウトカム)にCSR介入効果を認めなかったが、1日の狭心症エピソード数(一次主観アウトカム)では、介入効果がみられた(OR 1.40)。CSR群でCSR塞栓イベントが2件発生し、いずれの群でも急性冠症候群イベントおよび死亡は発生しなかった。

評価

Shockwave Medicalのデバイスで、EUではクラスIIb推奨されている。FDAはより慎重であり、2020には承認要求を退けている。今回の結果は、「概ね安全であるが、効果は主観的」というもので、イギリス・ヨーロッパでの使用を増加させる可能性があるが、アメリカでの承認は進行中のCOSIRA-IIの結果を待つことになる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)