再発・難治血液がんでCAR-T細胞療法と造血幹細胞移植をオールインワンで行う
Sequential CD7 CAR T-Cell Therapy and Allogeneic HSCT without GVHD Prophylaxis
背景
キメラ抗原受容体T細胞(CAR T)療法は、さまざまなタイプの血液がん患者で有効性を示しており、再発・難治がんでの同種造血幹細胞移植(HSCT)へのブリッジング治療としても有望であるが、HSCT前の前処置や移植後の移植片対宿主病(GVHD)予防治療はCAR T細胞療法の効果を損なう可能性がある。
中国Zhejiang UniversityのHuらは、再発・難治性のCD7陽性白血病/リンパ腫患者10名を対象に、CAR T細胞療法により、血球数回復が不完全な完全寛解(CRi)の後、骨髄破壊的前処置やGVHD予防薬を使用せず、ハプロ一致HSCTを実施する「オールインワン」戦略を検証した。
結論
CAR T細胞療法後、全例でCRiを達成した。ハプロ一致HSCT後、1名は敗血症性ショックと脳炎により死亡、8名が完全ドナー型キメラを獲得、1名はレシピエント造血であった。3名がグレード2のHSCT関連GVHDを呈した。CAR T細胞療法後のフォローアップ期間15.1ヵ月(中央値)で、6名が微小残存病変(MRD)陰性の完全寛解を維持しており、2名がCD7陰性の白血病を再発、1名が3.7ヵ月時点で敗血症性ショックにより死亡した。1年生存率は68%、1年無病生存率は54%と推定された。
評価
CD7 CAR T細胞療法を活用することにより、移植後の生着とGVHDのコントロールを可能にするというアプローチで、特に強力な前処置を受けることができない患者に、新しい道を開く治療パラダイムとして注目される。