アメリカの大麻合法化が明らかにする大麻の心疾患リスク
Association of Cannabis Use With Cardiovascular Outcomes Among US Adults

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Journal of the American Heart Association
年月
March 2024
13
開始ページ
e030178

背景

大麻の摂取は、心疾患と関連する可能性が指摘されているが、日常的な大麻使用者の少なさ、さらに大麻使用者の大半が喫煙者でもあるという交絡の問題もあって、十分解明されていなかった。
アメリカMassachusetts General HospitalのJeffersらは、Behavioral Risk Factor Surveillance Surveyから、2016〜2020年のデータを用いた集団ベース横断研究を行い、18〜74歳の大麻使用(過去30日間)と自己報告による心血管アウトカムとの関連を検討した(n=434,104)。

結論

4.0%が大麻の日常的使用者、7.1%が非日常的使用者であった。
大麻の日常的使用は、冠動脈疾患(調整オッズ比 1.16)、心筋梗塞(1.25)、脳卒中(1.42)、これら3つの複合アウトカム(1.28)と関連した。30日以内の使用日数が減るごとに、比例的に対数オッズが低下した。喫煙をしない個人では、大麻の日常的使用は、心筋梗塞(1.49)、脳卒中(2.16)、複合アウトカム(1.77)と関連した。
心血管アウトカムとの関連は、55歳未満の男性、65歳未満の女性においても同様であった。

評価

近年、多くの州が嗜好品としての大麻を合法化したことにより、利用可能となった最大規模のデータを用いた研究で、大麻が心血管リスクであることを確認した。規制をめぐる議論の強いエビデンスである。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)