急性心筋梗塞では非制限的輸血の方が良い?:MINT試験
Restrictive or Liberal Transfusion Strategy in Myocardial Infarction and Anemia
背景
輸血を開始するHbカットオフ値を7 g/dL程度とする制限的輸血は、大半の入院患者において確立された戦略となっている。急性心筋梗塞(AMI)については、フランス・スペインのREALITY試験が、リベラル輸血に対する制限輸血の非劣性を示している(http://doi.org/10.1001/jama.2021.0135)。
アメリカRutgers Robert Wood Johnson Medical SchoolのCarsonら(MINT)は、世界144施設でHB値10 g/dL未満の心筋梗塞患者を、7 g/dLまたは8 g/dLのカットオフによる制限輸血群、または10 g/dLによるリベラル輸血群へと割り付け、30日までの心筋梗塞・死亡(複合アウトカム)を比較する第3相RCTを実施した(n=3,504)。
結論
赤血球輸血量は、制限輸血群で0.7単位、リベラル輸血群で2.5単位であった。ランダム化後1〜3日目の平均Hbレベルは、制限輸血群で1.3〜1.6 g/dL低かった。
一次複合アウトカムは、制限輸血群の16.9%、リベラル輸血群の14.5%で発生した(リスク比 1.15)。死亡は各9.9%、8.3%で(1.19)、心筋梗塞は8.5%、7.2%で発生した(1.19)。
評価
REALITY試験の5倍の患者が登録された大規模試験で、各アウトカム項目とも(有意差はなかったものの)リベラル輸血群で良好な傾向があり、AMIにおける最適な輸血戦略には、議論の余地が残ることとなった。