治療歴のある小細胞肺がんに二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体が登場
Tarlatamab for Patients with Previously Treated Small-Cell Lung Cancer
背景
小細胞肺がん(SCLC)に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の検証は、非小細胞肺がんと比して遅れてきたが、近年、複数のICIがSCLC初回治療で限定的ながら効果を示している。ただし、複数ラインの治療歴をもつSCLCに対して承認された治療法はない。
韓国Sungkyunkwan University のAhnらは、SCLC細胞表面のデルタ様リガンド3(DLL3)とCD3に結合する二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体tarlatamab(AMG 757)の安全性/抗腫瘍活性を評価するため、治療歴のあるSCLC患者に対し、2週間隔で10 mgまたは100 mgのtarlatamabを静注する第2相試験DeLLphi-301を実施した(n=220)。
結論
客観的奏効は10 mg群の40%、100 mg群の32%に認められた。客観的奏効患者の59%は、奏効持続期間が6ヵ月以上であり、データカットオフ時点で10 mg群の55%、100 mg群の57%は奏効が持続していた。無増悪生存期間(中央値)は、10 mg群4.9ヵ月、100 mg群3.9ヵ月であり、9ヵ月生存率はそれぞれ68%、66%であった。
一般的な有害事象として、サイトカイン放出症候群・食欲減退・発熱があった。サイトカイン放出症候群は、大半がグレード1または2であった。治療関連有害事象により、投与中止となった患者は3%であった。
評価
Tarlatamabは、サードライン以降のSCLC患者において意味のある抗腫瘍活性を示した。第3相用量としては、10 mgが選択され、プラチナ化学療法後に再発したSCLC患者を対象としたDeLLphi-304試験が募集を開始している(NCT05740566)。


