交流電場腫瘍治療（TTFields）が切除不能非小細胞肺がん患者でICIへの上乗せ効果示す：LUNAR試験
Tumor Treating Fields therapy with standard systemic therapy versus standard systemic therapy alone in metastatic non-small-cell lung cancer following progression on or after platinum-based therapy (LUNAR): a randomised, open-label, pivotal phase 3 study
背景
交流電場腫瘍治療（Tumor Treating Fields; TTFields）は、皮膚に取り付けた2対の電極から発生させた交流電場により、腫瘍細胞の有糸分裂を阻害することで抗腫瘍効果を生じさせる。初発膠芽腫において有効性を証明し、日本でも保険適応されているほか、他の悪性腫瘍についても検証が進んでいる。
アメリカWinship Cancer Institute at Emory UniversityのLealら（LUNAR）は、北米・ヨーロッパ・アジアの19ヵ国130施設において、プラチナ療法中または治療後に進行した遠隔転移を有する非小細胞肺がん患者を、TTFields＋標準薬物治療（主治医選択の免疫チェックポイント阻害薬[ICI]ないしドセタキセル）または標準薬物療法のみへと割り付け、全生存期間を比較する第3相RCTを実施した（n=276）。
結論
全生存期間の中央値は、TTFields群で13.2ヵ月、標準治療群で9.9ヵ月と、TTFieldsにより有意に延長した（HR 0.74）。
重篤な有害事象はTTFields群の53%、標準治療群の38%で発生した。TTFieldsに関連する有害事象は71%で報告され、このうち85%がグレード2以下の皮膚・皮下組織障害であり、TTFieldsに関連した死亡はなかった。
評価
化学療法後に進行した切除不能非小細胞肺がん患者においてICIへの上乗せ効果を示し、懸念されていた肺や心臓への毒性も認められなかった。治癒的な治療ではなく、1日の3/4以上の装着が必要とされるなど負担も大きいが、治療選択肢の限られたこの患者集団における、新しい選択肢として考慮されよう。
