外傷性出血でのREBOAはおそらく有害 UK-REBOA試験が示す
Emergency Department Resuscitative Endovascular Balloon Occlusion of the Aorta in Trauma Patients With Exsanguinating Hemorrhage: The UK-REBOA Randomized Clinical Trial
背景
Resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta(REBOA, 蘇生的なIABO)は、バルーンカテーテルを大動脈内に留置し、遮断することで致死的出血をコントロールする技法であるが、近年、日米のエビデンスがREBOAによる死亡率の増加を示唆しており、RCTによる検証が望まれていた。
スコットランドUniversity of AberdeenのJansenら(UK-REBOA)は、イギリス16施設の重大外傷センターで致死的出血を呈する16歳以上の外傷患者を、REBOA+標準治療または標準治療のみへと割り付け、90日全原因死亡率を比較するベイジアンRCTを実施した。
結論
90名がランダム化され、同意を撤回した1名を除き解析に含まれた。
90日全原因死亡率はREBOA併用群で54%、標準治療群で42%であった(オッズ比 1.58)。オッズ比が1を上回る事後確率は86.9%であった。また、10の副次アウトカムのうち、6ヵ月死亡率、院内死亡率、24時間・6時間・3時間死亡率について、オッズ比が1を超える事後確率はREBOA併用群で高かった。REBOA併用群では出血による死亡が多く(32% vs. 17%)、大半が24時間以内であった。
評価
待たれていたRCTのエビデンスであり、REBOAが致死的出血の管理において有害である可能性を強く示唆した。REBOA群での死亡の増加傾向は早期から現れており、出血のコントロールに資さないと考えられる。REBOA実践の再考を求める否定結果である。


