ICU患者の皮膚清拭にムピロシンの鼻腔塗布を併用するとMRSA感染が減少
Nasal Iodophor Antiseptic vs Nasal Mupirocin Antibiotic in the Setting of Chlorhexidine Bathing to Prevent Infections in Adult ICUs: A Randomized Clinical Trial
背景
鼻腔内のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)保菌は、医療関連感染の原因となる。2013年のREDUCE MRSA試験は、ユニバーサルなムピロシンの鼻腔内塗布がMRSA血流感染症と、すべての血流感染症を減少させることを示したが、耐性への懸念もあり、アメリカの半数以上の施設はムピロシン塗布を採用していない。
アメリカUniversity of California Irvine School of MedicineのHuangらは、同国のコミュニティ病院ネットワーク(HCA Healthcare)の137施設を、成人ICU患者へのクロルヘキシジン清拭+ムピロシン鼻腔内除菌というルーチン戦略の継続、またはクロルヘキシジン清拭+ヨードホール鼻腔内除菌への切り替えへと割り付け、ムピロシンとヨードホールの有効性を比較し、ヨードホールの非劣性を確認するクラスターRCTを実施した。
結論
233のICU、801,668名の患者が参加した。
黄色ブドウ球菌の臨床分離についてのハザード比は、ヨードホールへと切り替えた施設群では1.17(1000日あたり4.3から5.0へ)、ムピロシンを継続した施設群では0.99(4.0から4.1へ)であった。ハザード比の差は18.4%であった。MRSAの臨床培養についても、切り替え施設で1.13、継続施設で0.99、ハザード比の差は14.1%であった。病原体によらないすべての血流感染症については、差は認められなかった。
評価
REDUCE MRSA試験を実施したHCAによるメガトライアルであり、REDUCE MRSA試験が示したユニバーサルな鼻腔ムピロシンの追加戦略が依然有効であることを確認した。


