心肺蘇生中の心停止患者には意識がある?:AWARE II
AWAreness during REsuscitation - II: A multi-center study of consciousness and awareness in cardiac arrest
背景
心停止を生き延びたサバイバーの一部は、心停止中の知覚的意識を報告することがあり(https://doi.org/10.1016/j.resuscyclation.2014.09.004)、さらに死亡時の脳波を観測した最近の研究では、(知覚・意識と関連付けられる)ガンマ波の上昇が報告されている。
アメリカNew York UniversityのParniaらによるAWARE II studyは、1) 院内心停止患者の心肺蘇生中に、頭上に固定されたタブレットとヘッドホンによる視聴覚刺激を提示し、その刺激をサバイバーが想起しうるかを調査、2) パイロット・サブスタディとしてリアルタイム脳波(EEG)・脳酸素濃度(rSO2)モニタリングを実施した。3) さらに、心停止中の認知経験についての自己報告をコミュニティの心停止サバイバーから収集する横断的調査も実施された。
結論
院内心停止患者567名のうち、53名(9.3%)が生存し、28名がインタビューを受けた。
11名(39.3%)が意識の存在を示唆する記憶・知覚を報告した。これらの経験は、心肺蘇生中に生じた昏睡からの覚醒(2/28)、心肺蘇生の後に生じた覚醒(2/28)、夢のような経験(3/28)、死の経験の超越的想起(transcendent recalled experience of death, 6/28)の4カテゴリーに分類された。これらのカテゴリーは横断的調査(n=128)でも確認され、さらに医学的イベントの誤認(妄想)というカテゴリーも追加された。
心停止中に提示された視覚刺激を特定したサバイバーはおらず、聴覚刺激を特定したのも1名のみであった。脳のモニタリング(n=85)では、平均rSO2が43%という顕著な脳虚血が認められた一方で、心肺蘇生が延長した例(35〜60分)の一部で、デルタ活動・シータ活動・アルファ活動などが出現した。
評価
2014年のAWARE studyをさらに多角的に掘り下げる多施設研究である。知覚刺激の想起はほとんど生じなかったものの、脳波モニタリングの結果は、臨死体験の一部に現実的基盤が存在している可能性を示唆するもので、PNAS誌の論文とともに大きな注目を集めている(https://doi.org/10.1073/pnas.2216268120)。


