ショックを呈するAMI患者でのECLSに利益見込めず:メタアナリシス
Venoarterial extracorporeal membrane oxygenation in patients with infarct-related cardiogenic shock: an individual patient data meta-analysis of randomised trials
背景
心原性ショックを合併した急性心筋梗塞(AMI)患者では、VA ECMO(静動脈-膜型人工肺)による体外式生命補助(ECLS)の使用が増加していたが、エビデンスは確立されておらず、直近ではECLS-SHOCK試験がネガティブな結果を報告している(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2307227)。
ドイツInstitut für HerzinfarktforschungのZeymerらは、心筋梗塞関連の心原性ショック患者においてルーチン的な早期VA ECMO使用と、薬物療法単独を比較したランダム化比較試験を特定し、30日死亡率への効果を評価する系統的レビュー・メタアナリシスを実施した。
結論
4件の試験が包含基準を満たした(n=567)。早期VA ECMOの使用は30日死亡率の有意な低下をもたらさなかった(オッズ比 0.93)。一方で、大出血(オッズ比 2.44)、末梢血管の虚血合併症(3.53)はVA ECMO群で増加した。事前に指定されたサブグループ解析においても、VA ECMOのベネフィットは示されなかった。
評価
ECLS-SHOCK試験チームによるメタアナリシス論文で、試験結果はNEJM誌で、メタアナリシスの結果はLancet誌で、同時に発表された。結果はいずれも、この集団でのルーチンなECLS使用に疑問を投げかけるもので、有効性が見込める患者の絞り込みが必要である。