前方循環系主幹動脈梗塞でのブリッジング血栓溶解療法の利益は微妙:メタアナリシス
Value of intravenous thrombolysis in endovascular treatment for large-vessel anterior circulation stroke: individual participant data meta-analysis of six randomised trials
背景
血管内治療センターに直接搬送された脳梗塞患者で、血管内治療へのブリッジとして血栓溶解療法を併用すべきか。この問題はRCTによる検証が続いており、直近でもMR CLEAN-NO IV・SWIFT DIRECT・DIRECT-SAFE等重要な結果が相次いで公表されている。
オランダAmsterdam University Medical CentersのMajoieらは、主幹動脈閉塞静注血栓溶解療法+血管内治療と比較して血管内治療単独の非劣性を評価するため、システマティックレビューを行い、特定された6件のRCTの患者個別データ(n=2,313)によるメタアナリシスを実施した。
結論
包含試験のバイアスリスクは低または中程度であった。90日後の修正ランキンスケール(mRS)の中央値は、血管内治療単独群で3、血栓溶解療法併用群で2であった(調整共通オッズ比 0.89)。頭蓋内出血は血管内治療単独群で頻度が少なく、症候性の頭蓋内出血および死亡に群間差はなかった。
評価
上記試験に加えて、先行のDIRECT-MT・SKIP・DEVTを含むメタアナリシスである。個別試験の結果は分かれていたが、このメタアナリシスではt-PAスキップの非劣性は認めらなかった。ただし、血栓溶解療法に大きなベネフィットがあるとは考えにくく、優先度は低い。


