アメリカでのICD過剰使用の実態
Association of the US Department of Justice Investigation of Implantable Cardioverter-Defibrillators and Devices Not Meeting the Medicare National Coverage Determination, 2007-2015
背景
アメリカでは植込み型除細動器(ICD)の過剰使用を防止するためMedicare & MedicaidはNCD基準を設定している。司法省はその遵守状態を2011年に調査し、一部病院では基準遵守に基づきMedicare &Medicaidとの契約的和解取り決め(settlement)が必要となった。Yale School of MedicineのDesaiらは、2007/1/1〜2015/12/31間におけるNCDR ICD Registry(1,809病院[和解病院:452])におけるICD植え込み例(n=300,151)のトレンドを報告している。
結論
調査開始時では、初回ICD植え込みにおけるNCD基準不適合率は和解病院で25.8%、他病院で22.8%であった(P<0.001)。研究期間全般にわたり、基準不適合率は和解病院で62.7%(絶対低下:16.1%)、他病院でも53.2%低下し、最終的には両病院でほぼ同等となった。このようなパターンは、両病院におけるメディケア非受給者に対するICD植え込みでも同様であった。
評価
私的保険機関での実態は明らかでないが、2007年ごろにアメリカでのICD植え込みの1/4が不適応であったことを示唆しうる衝撃的な報告である。