一般集団に対するアスピリン一次予防戦略のための基礎データを提出
Annual Risk of Major Bleeding Among Persons Without Cardiovascular Disease Not Receiving Antiplatelet Therapy
背景
心血管疾患(CVD)や大腸がんの一次予防にアスピリンを使用するという提案があるが、その採否は、使用考慮集団のベースラインでの出血イベントリスクの確認なしでは決定できない。ニュージーランドUniversity of AucklandのSelakらは、同国のプライマリケア一般集団(抗血小板療法なし・CVDなし)のデータに基づき、無治療一般集団の重大出血リスクを評価する前向研究を行った(n=[ベースライン]359,166:うち[非高リスク]305,057・[非投薬]240,254;平均年齢54歳)。
結論
1,281,896人年の追跡期間での重大出血イベント発生者はコホートの1.1%で、73%は消化管(GI)出血であった。同イベント中致命化したのは7%であり、過半が脳内出血だった。1000人年あたりの非致命的GI出血イベントリスクは、ベースライン群・非高リスク群・非投薬群でそれぞれ2.19・1.77・1.61であった。GI出血イベントでの死亡率は、各3.4%・4.0%・4.6%であった。
評価
US Preventive Services Task Force (USPSTF) はすでに一般集団に対する一次予防使用勧告を出しているが、著者らは、ここでのデータは勧告実行の効果がUSPSTFの予測を下回ることを示唆する、という。問題は論争的となった。