心代謝性疾患保有男性の仕事ストレスの死亡リスクは喫煙レベル
Work stress and risk of death in men and women with and without cardiometabolic disease: a multicohort study
背景
心代謝性疾患を持つ患者は、仕事上のストレスで生死に関わるインパクトをうけやすいか。フィンランドUniversity of HelsinkiのKivimakiらは、欧州7コホートを対象とする後向研究を行った(n=102,633; リスク曝露: 423,753人年; 平均フォローアップ: 13.9年)。仕事のストレスは、仕事の重圧または努力‐報酬不均衡感と定義した。ベースラインでの心代謝性疾患(冠性心疾患・脳卒中・DM)および通常のライフスタイルリスク因子の有無を個別評価し、全原因死亡との関連を解析した。
結論
男性の心代謝性疾患保有者の年齢調整死亡リスクは、仕事のストレスがある場合に顕著に高かった(aHR:1.68)。このリスクレベルは現喫煙の過去喫煙に対するリスクレベルと同水準であり、高血圧症・高コレステロール血症・肥満・運動不足・アルコール消費を凌駕した。またこの過剰リスクは、他リスク因子のコントロ―ルに成功した患者でも存続した。他方、女性では仕事ストレスの死亡リスクは非有意であった。また非心代謝性疾患保有男性では、このリスクは努力‐報酬不均衡感のある場合だけ有意だった。
評価
職業ストレスのリスクに関する過去最大規模の調査である。死亡リスクだけに焦点を絞った研究により、DM等患者の仕事ストレスの死亡リスクレベルが喫煙の水準であること、女性の仕事ストレスは死亡リスクにならない等注目すべき仮説を生成した。精神障害リスク等も含めた後続展開研究が期待される。