デンマークにおけるAF患者への抗血栓療法の現状
Prestroke and Poststroke Antithrombotic Therapy in Patients With Atrial Fibrillation: Results From a Nationwide Cohort
背景
心房細動(AF)患者の脳卒中一次・二次予防のための抗血栓療法のリアルワールド状況は。デンマークGentofte HospitalのGundlundらは、同国全国レジストリ登録虚血性脳卒中AF患者(CHA2DS2-VASc ≧1) における脳卒中前後の抗血小板療法・経口抗凝固薬(OAC)療法のパターン・長期アウトカムを後向調査した(n=30,626)。
結論
脳卒中前においては、OAC率36.3%、抗血小板単独療法率38.8%であり、24.9%は抗血栓療法を受けていなかった。抗血小板療法単独群の31.3%、非抗血栓療法群の43.7%が、脳卒中後にOAC療法に移行したが、脳卒中患者の37.5%は脳卒中後にOACを受けていなかった。OAC治療率は時期と共に増加している。最大10年間の追跡期間中、OAC療法群・抗血小板療法群・非抗血栓療法群の各17.5%・21.2%・21.5%に新規血栓塞栓イベントが起こり、その72.7%・86.4%・86.2%が死亡した。脳卒中後のOAC療法は、血栓塞栓事象再発リスクを低減し(aHR:0.81)、出血合併症に有意差はなかった。他方、脳卒中後の抗血小板療法は非抗血栓療法と有意差がなかった。
評価
脳卒中未経験AF患者のOAC療法率は1/3に過ぎず、脳卒中後もサバイバーの半数しかOAC療法を受けない、という結果を示す一方、OAC療法の二次予防効果は再確認している。現場では未だ出血合併症への危惧があるとみられ、ガイドラインが禁忌患者を限定・明確化することの必要性を示唆する。